「エミール」その3

フランスの哲学者ジャン・ジャック・ルソー(1712年~1778年)の「エミール」(岩波文庫)の上巻より、一部抜粋した言葉です。

※子供をめぐる教育論について「学校教育」ではなく「家庭教育」としての内容です。

生命と健康にとってどんな養生法がいちばん有益かを知るには、いちばん健康に暮らしている民族、いちばん丈夫でいちばん長生きする民族が、どんな養生法をまもっているかを知りさえすればいい。

一般的な観察にもとづいて、薬を用いることが人間を一層健康にしたり、長生きさせたりすることはありえないとするなら、したがって、医学は有効な物でないとするなら、それは時間と人間と事物をまったく無駄にすることになるから、有害なものだ。

生命をまもるために時間を費やしては、それだけ生命を楽しむ時間が無駄になるから、そういう時間は減らすようにしなければならない。

ところが、さらに、その時間を自分の身を苦しめるために用いる事になると、それは何にもならないと言うよりもっと悪い。

それはマイナスだ。

そして正確に計算するなら、わたしたちに残されている時間からそれだけ差し引かえなければならない。

医者にかからずに十年生きた人は、医者に悩まされながら三十年生きた人にくらべて、自分にとっても、他人にとっても、よけい生きた事になる。

どちらの場合の経験もしたことがあるわたしは、だれよりもこういう結論を引き出す権利があると思っている。(59頁)

長生きした人の例は、ほとんどすべて、もっともよく体を鍛え、もっともよく疲労と労働に耐えた人々のうちに見られる。(60頁)

農村の女は都会の女に比べて、あまり肉を食わず、野菜をたくさん食べる。

そして、この植物性の食事は、当人にとっても子供にとっても、有害であるどころではなく、有益であるように見える。

農村の女がブルジョワの子供の乳母になると、ポトフ(肉と野菜のシチュー)を当て得られる。
ポタージュと肉のブイヨンは一層よい乳びをつくり、乳の出を良くすると信じられているからだ。

わたしはこの意見には、まったく反対だ。

わたしとしては、そういう乳で育てられた子供は、

ほかの子供に比べて、いっそう腹痛や虫を起こしやすい事を教えてくれる事実を経験している。
これは、それほど驚く当たらない。

動物性の物質は腐敗すると虫がわくからだ。

植物性の物質ではそういう事は起こらない。(63頁)

植物性の食物だけを摂っている民族はすべて非常に健康である。(64頁)

悪はすべて弱さから生まれる。

子供が悪くなるのは、その子が弱いからに他ならない。

強くすれば善良になる。

なんでもできるものは、決して悪いことをしない。

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先人たちは、素晴らしい日本の伝統的な生活法「病まない生活の知恵」と言う生活を送っていました。

現代に生きる我々は、今一度先人たちの知恵を掘り起こし、現代社会でも取り入れることのできる知恵を、継承していくことが未来(子供 そして孫たち)への財産と思います。

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