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環境

リンの枯渇は滅亡へ

食糧不足を引き起こす『リン危機』の話です。

食糧の生産が激減し、人類存続の危機の緊急課題だというのです。

リン鉱山の余命

 ところが、産出する世界のリン鉱山が次々と閉山廃坑に追い込まれている。掘り尽くして資源がなくなったからだ。

 その結果どうなるか、当然作物が育たない、供給出来ない。ついには、人類は餓死する、滅びるという最悪なストーリーが読み解ける。たった一つの物質の欠乏が、今後大変な事態を世界に巻き起こそうとしていたのだ。我々は、今まで全く知る由もなかった。

 日本には、勿論、その資源は元より無い。1997年、米国のリン鉱石輸出停止。続く2008年、中国四川省でマグニチュード8.0の大地震、その震源地周辺がリン鉱石採掘現場で、生産停止の異常事態。中国本国でも国内供給量確保のため、輸出禁止命令を出した。実に43%も世界市場から忽然と消えて、5倍の価格急騰。

 世界の年間採掘量は、約1.4億t。枯渇するまでの耐用年数は約130年間。人口増加に伴い、それが急速に前倒しになっている。

 やがて石炭も石油も掘り尽くされる同じ運命だが、違うのだ。石油の代替エネルギーとして、太陽光、水力風力、バイオ燃料などがある。だが、リンだけは代替品がないという現実が、立ちはだかっている。

 10年後、リンの埋蔵量がピークを迎える。そして今世紀末で掘り尽くしてしまうだろう。つまり、リンがこの世から消減するのだ。重ねて言うがアシモフの予言通り、それは人類滅亡をも意味する。国連食糧農業機構によれば、あと30年後には二倍の農産物生産量を増産せねば90億人を養えないと予測している。いわんや、現在のおいても8億5000万人の飢餓人口、それは9人に1人の割で飢えている。そして、世界各地で一日に4万人が餓死しているという。数年後、数十年後、それは南アフリカのことではなく、我が国日本の現実となろう。食糧輸入に頼る日本の自給率40%にも満たないにも拘らず、1日3000万食分が廃棄せられている我が国。何と勿体無い(MOTTAINAI)ことか。いずれ、罰が当たるに違いない。

 日本人の一人一人が食を破棄しなければ、この世から餓死者が消える。我々は知っていただろうか。たった一国、日本が一食を慎めば、世界は救われるのだ。

二律背反

 日本の耕作地は、黒ボク土といわれる火山灰土壌が多く、リン酸質肥料を施肥しても、土中の鉄やアルミと結合して、リン酸成分が20%程度しか吸収されない。しかし、これは無駄なことでもなく、農作物に適合した土壌が形成された、いわゆる土作りがなされて、リン酸肥料が以前ほど要らず、必要な分を投与すれば良くなって来たのだ。

 だが、一方、他の肥料分を含めて、河川に流れ、湖に貯まり、あのアオコ発生の原因になって環境問題を引き起こしている。それは生活排水が下水処理場に運ばれ、微生物で下水を浄化するも、排水中のリンを除去し再利用しないで放流すると、富栄養価で海を汚すのだ。過剰も不足も自他ともに弊害。バランスが必要であり、リン資源のリサイクルがこれからの急務である。

「菌根共生」という解決法

前稿「MOTHER TREE」で書いた「菌根共生」が、その一つの解決法でもあった。

根は、リンを自力で探すが、半径1mmの範囲しか届かない。1mmを超えると手に負えないのだ。そこで、菌の助け船が入る。根は菌に炭素を供給し、菌は根に水と栄養素を運ぶ。将(まさ)に菌は成長の速さと栄養を促える俊敏性は、忽ちの内にリンを捉え、根の1mmをいとも簡単に超えるのだ。そして菌子体が根に浸透し、根の細胞間で増殖して入り込み、樹木状の形となり、根と菌の交換接続(インターフェイス)を相互に拡張させる。菌はリンを供給し。根は菌を養う。共生共存、相互扶助の間柄なのである。

この関係が、土中で確立すれば、リンを100%投与する必要はない。1/4まで減らすと、90%以上も植物が吸収できるようになる。さらに、リンを加えずとも活性が起こるようにもなる。

 リンが土中に豊富にあっても水に溶ける溶解性でなければ、根は吸収出来ない。だが、それを菌が溶解性に変化させ、植物が利用できるようにお膳立てをするのだ。菌根関係が、土中で成立すれば、リン枯渇危機を越えられる希望が出て来る。

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