種が危ない!!!

我が日本に目を移すと大変なことに『種子法』が廃止されました。平成30年6月18日の中日新聞の社説が、非常に分かり易いので抜粋してお知らせ致します。

――― 中日新聞 社説 ―――
[junkie-hightlights color=”red”]昨年四月、国会は種子法の廃止を決めた。審議時間は衆参合わせて十二時間。その法律がそれまではたしてきた役割も、廃止に伴う人々の暮らしへの影響も、そもそもそれがどんな法律なのかも、恐らくほとんど知られずに。正しくは、主要農産物種子法。わずか八条の短い法律だった。[/junkie-hightlights]

主要農産物とは、稲、大豆、はだか麦、小麦、および大麦。つまり主食系である。「あって当たり前の空気のような存在として、ことさらその大切さを考えることが少なかった法律と言えよう」龍谷大学教授の西川芳昭さんは「種子が消えれば あなたも消える」(コモンズ)に書いている。種子法の制定は一九五二年の五月。サンフランシスコ講和条約が発効し、この国が主権を取り戻した翌月だった。

――中略――

その種子法がなぜ廃止されたのか。おととし秋に国が定めた「農業競争力強化プログラム」には次のように書かれている。

[junkie-hightlights color=”red”]<戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する>。そのためには<地方公共団体中心のシステム>である種子法が、民間の開発意欲を阻害していたというのである。現政権お得意の「成長戦略」の一環だった。[/junkie-hightlights]

種子法廃止では都道府県が直ちに種子の供給を止めるわけではない。だが、海外の大資本の参入により、日本の主食を守り続けてきた「公的種子」の開発、供給システムが、崩される恐れはある。モンサントやデュポンなど、わずか八社で世界の種子の売上の約八割を占めているという。種子法の対象外ではあるが、少し前まで日本の野菜の種は、100%国産だった。今や九割が海外生産だ。そして大半が、自家採種が不可能なハイブリッド(F1)の品種に取って代わられた。

――― 中略 ―――

[junkie-hightlights color=”red”]そもそも種子法は、命そのもの。命をはぐくむものである。だから「みんなのもの」だった。すべてを競争原理の世界に放り込み、勝者による独占に委ねてしまっていいのだろうか。「これは、食料主権の問題です」と、西川教授は考える。私たちが何を育て、何を食べて生きていくかは、私たち自身で決めるべきではないのだろうか。「主食」であればなおさらだ。[/junkie-hightlights]

今国会でも復活の声が上がった種子法は、私たち主権者=消費者にも無関係ではないのである。そしてさらに、私の知人Mさんの種子法について、ある資料から『F1の種』について分かり易い解説文を見つけましたので、ご紹介致します。

平成30年6月8日
――― 経済関連 ―――

野菜の栽培でよく聞かれる「F1品種」。これは「一代交配」のことです。販売や消費に都合が良いように品種改良されているため、F1の種から育てた野菜は、生育が早かったり味が良かったり、多く収穫出来たりします。

――― 中略 ―――

さてこのF1品種の中でも。種類が大きく2種類に大別されます。一つが「自家不和合性」。野菜を人の手で受粉させ、品質を均一にする方法です。古くはこの方法が用いられており、特に日本での開発は世界一です。作業は大変ですが、最近は機械化されてきています。この方法で野菜を栽培すると自然の種も採れ、それを畑に蒔けば、繰り返し在来種の野菜の収穫ができるものもあります。何度か収穫を繰り返していけば完全に在来種に戻るでしょう。

[junkie-hightlights color=”red”]もう一つのF1品種が「雄性不稔」です。この技術はアメリカで出来、いまや世界標準になっています。「雄性不稔」の種は「オシベのない花」が咲きます。新たな種が出来ない、子孫を残せない野菜なのです。スーパーで売られている野菜は間違いなくF1品種ですが、それが「自家不和合性」か「雄性不稔」か見分けはつきません。雄性不稔の野菜は確実に増えているため、私たちは「子孫を残さない野菜を毎日食べている事になります。それが遺伝子レベルでどう健康に影響するのかはまだはっきりしていません。ならば自分で野菜を作り、種をとって来年再来年も育てていこう、と菜園を実践する人も増えてきました。しかし、それさえも法律で禁止されるかもしれない、そんな事態が起きようとしています。[/junkie-hightlights]

先月5月15日の日本農業新聞に「農水省は、農家が購入した種苗から栽培して得た種や苗を次期作に使う自家増殖(採種)について、原則禁止する方向で検討に入った」と報じられました。これは、優良品種の海外流出を防ぐのが狙いと言っていますが、その品種はトマトやナス、ブロッコリー、キャベツなど209種類にものぼり、今後も対象を拡大していくとのことです。指定された品種の野菜は栽培しても種を採って来季の収穫用に蒔いてはいけないという法律で、違反すると「10年以下の懲役、1000万円以下の罰金」としています。

[junkie-hightlights color=”red”]人間の食べ物は直接・間接を含めてほぼ全て植物に依存しています。自然からの恵みである種を採ることを許さず『全て海外企業から買わせるもの』となっていけば、種による不当な支配と搾取となります。そうなれば徐々に「自家不和合性」品種は減らされ、管理や独占がしやすい、「雄性不稔」の種ばかりとなり、農家に限らず家庭でも種を採る事ができなくなっていきかねません。「在来種」を守り、作物を健全に育て、種を守っていく事が国を守る事に繋がります。我が国の未来の為に種は守っていなかなければなりません。[/junkie-hightlights]

私 阿部一理は思う

最後に伝えたいことは「世の中には、取り返しのつかない誤ちと、比較的取り返しのつき易い誤ちがあると思います。核戦争、原発、マイクロプラスチックによる環境汚染、オゾン層破壊、遺伝子組み換え作物等々は、元に戻すことが極めて難しい難問中の難問項目です。起こらないようにする努力が何よりも肝要なことと思います。」

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