鈴木宣弘氏(のぶひろ)さんの事を緊急ご案内致します。
文春新書『食の戦争―米国の罠に落ちる日本』(2013年8月20日、第一刷発行、820円税別)の著者紹介から。
1958年、三重県生まれ。82年東京大学農学部卒業。農林水産省(国際部国際企画課、九州大学教授、コーネル大学客員教授を経て2006年より東京大学大学院農学国際専攻教授。専門は農業経済学。農業政策の提言を続ける傍ら、数多くのFTA交渉にも携わる。
私阿部一理は、今になって知ったスゴイ情報に「居ても立っても居られない」気持ちで一杯です。
2023年2月19日(日)に千葉県文化会館での『日本が飢える日』と題して鈴木宣弘氏の講演の資料請求は→「suzukinobuh2@gmail.com」です。
さらに 2023年(令和5年)2月19日の「講演のパワーポイント」を鈴木教授から頂くことが出きました。
資料の一部をご紹介させていただきます。
*************
『今日の話のポイント』から
日本の食料自給率は種や肥料の自給率の低さも考慮すると、38%どころか10%あるかないかで、海外からの物流停止したら、世界で最も餓死者が出る国。
国内生産増強しないといけないのに、逆に、国内農業は生産コスト倍増でも農産物の価格が上がらず、この半年で、廃業が激増しかねない。
『3だけ主義』の日米のオトモダチ企業が国の政治を取り込み、農家や国民を収奪する。このまま放置したら、物流止まれば、国民の食べるものなくなる。農業の崩壊で関連産業も農協・生協も地域の政治・行政も存続できない。今こそ、協同組合、市民組織など共同体的な力が自治体の政治・行政と連携して地域で奮起する必要。
地域の種を守り、生産から消費まで「運命共同体」として地域循環的に農と食を支えるローカル自給圏。
『1つの核』は学校給食の地場産公共調達。
農家と住民一体化で耕作放棄地は皆で分担して耕す。
命縮める輸入品は国産より高い。消費者も流通・加工も今すぐ国産に。輸入途絶と消費者の潮流から有機・自然栽培の方向性を視野に。
お金出せば食料買える時代は終焉。不測の事態に国民の命守るのが「国防」なら、地域農業を守ることこそが安全保障。「防衛費5年で43兆円」の一方で「農業消滅」進めたら、「兵糧攻め」で日本人の餓死は
現実味。食料にこそ数兆円の予算を早急に付けよ。
*******
このくらいのものが、132ページも続きます。日本の食の安全保障が質も量も崩壊していく様が手に取るように分かります。
5ページ「市場支配力を持つ者がいるときに規制緩和すると、さらに儲けが一部企業に集中して弱者の貧困が加速、社会全体の利益も減少する可能性。
→現に数十年規制改革をし続けた日本経済は先進国唯一賃金・所得が下がりっぱなし。皆の利益になるはウソで大失敗だったが、富集中したい企業にとっては大成功。」
6ページ「ウクライナ危機で激化する食料争奪戦」
13ページ「2035年の食料自給率」の表で自給率の低さ(11%)には愕然とします。
14ページ「コロナ禍で露呈した生産資源の脆弱性」は怖ろしい。現状80%の野菜の国産率も種の物流停止になると8%まで落ちると想定されています。
18ページ「日本は独立国家たりえているか、飢えてからでは遅い」の中で
「食料を自給できない人たちは奴隷である」とホセ・マルティ(キューバの著作家、革命家。1853 – 1895年)の言葉を紹介しています。
20.21ページには、アメリカと日本の農業予算の差は、あまりにも大きい。
こうして132ページと言う大量の詳細な情報が続きます。
27ページは、NHKの「おはよう 日本」で取り上げられたり
31ページは、食糧輸入途絶の怖さをメディアが放映したことを紹介したりしています。
今回は、既にご存知の方も居られると思いますが、一人でも多くの方々に、ご家族、仲間たちと「鈴木宣弘氏」の情報を共有して頂きたいと思います。
特に45ページ『裏側には陰謀が蠢(うごめて)いている』
47ページ『世界が絶賛した江戸時代の見事な循環経済』は、一番に読んで欲しいところです。
最後に『食の戦争』の202ページの「おわりに」から一部を抜粋してご紹介させて戴きます。
**********
人々が安全な食料を安定的に得られることは人間の生存に不可欠であり、国家として守るべき義務があるはすだが、むしろ、社会の相互扶助のルールを壊し、競争を徹底することで、それが崩されつつある。いま進んでいる事態は、安さを求める激しい競争の中で、安全性への配慮や安全基準がおろそかにされ、食料生産そのものや食ビジネスの利益が一部の国や企業に偏って、世界の人々への安全な食料の安定的な供給の確保が脅かされているという事態だ。
食だけではない。これ以上、一部の強い者の利益さえ伸びれば、あとは知らないという政治が強化されたら、日本が伝統的に大切にしてきた助け合い、支え合う安全・安心な社会は、さらに崩壊していく。競争は大事だか、あまりにも競争に明け暮れる日々は人身も蝕み、人々は心身共に疲れ果てる。
=====中略=====
江戸時代を必要以上に称えるつもりはないが、ここで踏みとどまって「豊かさ」を問い直すときが来ていることは間違いない。幕末に日本に来た西洋人が、質素ながら地域の人々が支え合いながら暮らす日本社会に「豊かさ」を感じたように、もともと我々は、貧富を問わず、またハンディのある人も、分け隔てなく共存して助け合って暮らしていける「ぬくもりある」地域社会を目指してきた。いまこそ、踏みとどまって、大震災においても見直された「絆」を大事にする日本人の本来の生き方を取り戻さないと、取り返しのつかないことになる。
=====中略=====
もう一度問いたい。日本では、自己や組織の目先の利益、保身、責任逃れが「行動原理」のキーワードに見えることが多いが、それは日本全体が泥船に乗って沈んで行くことなのだということを、いま一度肝に銘じるときである。農産物を安く買いたたいて儲かっていると思っている企業や消費者がいたら、これも間違いである。それによって、国民の食料を生産している産業が疲弊し、縮小してしまったら、結局、みんなが成り立たなくなる。
アメリカの攻撃的な食戦略は“食”がいかに国民にとって命綱であり、国家戦略の中枢を占める問題なのかという事の重みを教えてくれる。しかし、人々の生に直結する命綱をどう確保すべきなのか、世界各国の戦略をにらみながら、今こそ真摯に考えなければならないだろう。
***********
2023年3月12日(日)19時から練馬区立区民・産業プラザでの鈴木教授の講演『世界で最初に飢えるのは日本?』を拝聴致して参ります。
そして近著『農業消滅―農政の失敗がまねく国家存亡の危機』(平凡社新書、2021年7
月15日初版第一刷り。880円(税別))を是非入手して欲しい。
約半年で8刷りまでに行っていますが、両著とも「100万部」のベストセラーにしなければ、と切に思います。
マクロビオティックの桜沢如一師は「食物なきところ生命現象なし」と。
『食が血となり、血が肉(細胞)となる』は永遠の心理です。
生命を大事にする第一歩は、より良い食を安定的に供給することに尽きます