病気知らずの生き方を、生活原理としてもっていた先人の知恵や実態を知る上でとても参考になる書籍がありました。『聖フランシスコ・ザ・サビエル書翰(しょかん)抄』下巻(岩波文庫)の46頁以下が素晴らしい。
神は私たちを、贅沢の出来ない国に導き入れる事に依って、私たちにこんなに大切な恵みをお施しになった、即ち、私たちが肉体に与えようと望んでも、この土地では、こんな贅沢は出来ないのである。
日本人は自分たちが飼う家畜を屠殺することもせず、又食べもしない。彼らは時々魚を食膳に供し、米や麦を食べるがそれも少量である。但し彼らが食べる草(野菜)は豊富にあり、また僅かであるが、いろいろな果物もある。
それでいて、この土地の人々は、不思議な程の達者な身体を持って居り、稀に高齢に達する物も、多数いる。従って、たとえ口腹が満足しなくとも、私たちの体質は、僅少な食べ物に依って、いかに健康に保つことのできるものであるかは、日本人に明らかに顕れている。
これは、1549年11月5日、鹿児島にて書かれた、ザビエルの手紙の中の一部分です。勿論、このことだけですべてを判って欲しいとは申しません。が、昔を知ることの出来にくい今日、大変参考になると思ったものですから、皆様にご紹介いたしました。
更に、ジャン・ジャック・ルソーの『エミール』の中から徹底して「肉食と西洋医学」を非難した知られざるルソーの思想を知って頂きたいと思います。
ルソーと言えば、近代哲学のなかでもホッブスやヘーゲルと並ぶ超重要人物であります。とくに『社会契約論』(1762年)は、哲学に大きな影響を与えただけでなく、フランス革命にも影響を与えたことからすると、近代社会の進み方全般に影響を与えた人物といっていいでしょう。