リンは『光を運ぶもの』

寝耳に水とは、まさにこのことか?

それは聞き慣れない食糧不足を引き起こす『リン危機』の話です。

食糧の生産が激減し、人類存続の危機の緊急課題だというのです。

盟友宮下周平氏(北海道 自然食品 まほろば代表)の、ある書籍への原稿の一部を御借りして、一足先にご報告し国家レベルでの取り組みを、心ある人たちに提言したいと思います。

阿部一理の結論

自然農法を理想としながら、我が国の江戸時代のような循環農法の良さを見直したとえ100億人超の人口になっても賄える食糧計画を立て、その上さらに『穀物菜食』の良さを啓蒙出来たら食糧は1/3で済むことになり、病も激減させることも可能で、一挙三得、にもなるのだが、そのことは一旦横においといて『リンの危機』に立ち向かうプロジェクトの立上げを国連等に提案したい。

プラトンは『哲学的大饗宴』の中で、『肉食は健康を害し土地と食べ物が足りなくなって、戦争が起こって国が亡びる。』と。

以下 阿部一理の責任でなるべく趣旨を損なわないように本文を忠実に、圧縮させて頂いた。

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■リン資源、枯渇危機

 世界的に今、大変な問題が起こっていた。

 それが耳慣れない「リン危機」である。

 詳しくは「リン資源が枯渇状態の危機に世界が陥っている」という、寝耳に水の大ニュースであった。

それを知らせて頂いたのが、北海道大学・大学院地球環境科学院・久保木芳徳名誉教授である。

太古に海洋性の光合成微生物であった「珪藻」が作り出す顆粒状のポリリン酸。それが、カルシウムアパタイトとなり、何億年をかけてリン鉱石が形成されるため、先生のアパタイト研究とは切っても切れない身近な対象物であった。しかも生命体はヒ素AsをリンPと間違って細胞内に取り込んでしまうほど、両者は同じ元素周期律表15A族に入る半金属・非金属元素であり、化学的に同じ性質を持っていた。その偶然の共時性が、よりリンに強い関心を抱かせたのだ。

 この問題に初め戸惑ったが、聴くにその内容は実に深刻であった。それもそのはず、社会的にほとんど知らされていない情報で、しかも人類存続危機の緊急課題でもあるからだ。

■リンは「光を運ぶもの」。ATPは「いのちの目印」。

 窒素、リン酸、カリは、作物の必須にして主要な三大栄養素であり、リンは、その中の一つに過ぎないという認識でしかなかった。

人間にとって最重要な遺伝子情報DNA(デオキシリボ核酸)は、炭素(C)、窒素(N)、酸素(0)、水素(H)そしてリン(P)の五元素で構成されている。このC、N、O、Hは大気と水の主成分で無尽蔵に存在しているが、

Pのみがほとんど大気中に存在せず、地中に在って有限なのだ。だが、DNA合成には、リンは絶対不可欠であった。 リンは、ギリシア語で『光を運ぶもの』の意味があり、生物のエネルギー源とも言えるアデノシン三リン酸ATPは『イノチの目印』と呼ばれている。

体内で数gのATPが約10秒間に一度の頻度で合成と分解を繰り返し、何と一日にして体重と同じほどの重量に達するというから驚く。そのダイナミックな生化学反応こそ、イノチが生きているそのものの姿。実態なのだ。それを動かす原動力こそリンであり、その基本物質だった訳だ。

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