なぜ不妊症は増え続けるのか。健康な赤ちゃんを授かるには
三重・産婦人科医中山尚夫先生の論文より(月刊総合医学2019年6月号・日本総合医学発行)から私阿部一理の責任で抜粋してお届け致します。
不妊症、不育症の主な原因は
★牛乳・肉食・砂糖食による炎症性疾患=子宮内膜症やガンの多発。
子宮内膜症は、子宮筋腫とともに着床不全を招き不妊症と密接に関係する。
★妊娠牛から搾乳される現代の牛乳は「経口避妊薬的ホルモン作用」を持つ。また多量のエスロトロゲンなどの女性ホルモン投与を受けた米国産牛肉の多量摂取によっても妊娠はより困難になる。
★牛・豚・トリ(種のカベが人間に近い。)などの多量摂取により、妊娠に必要な免疫機能に負担がかかり、妊娠が妨げられる。牛・豚・トリまでの動物は、プリオンたんぱくの多い人間に近い動物の摂取は回避すべきである。
★冷える食べ物による免疫機能低下と卵巣機能の低下(ミトコンドリアが活発に働かず。)
★骨盤うっ血や子宮内膜症の多発による「微小循環不全」が不妊症に。
・国の衰退は国民の無知と長い歴史の中で培われてきた食事習慣の軽視によってもたらされる。
関連が不妊症と深い子宮内膜症の原因に炎症説がある。炎症をもたらし易い食物は、牛乳・肉食・砂糖食など。ダイオキシンやトランス脂肪摂取なども原因とされる。ダイオキシンを最も吸着して体外に排泄する能力の高い食べ物が玄米。食物繊維のうち最高の高さの80%近い吸着率をもつのが玄米であることからも、日本人にとって、玄米は趣味の食ではなく、生きるための子孫を残すための必須の食べ物である。
★晩婚化によって卵子の老化が促進される。卵子の老化はDNAの損傷修復能力のおとろえとDNA損傷蓄積が原因。女性が年齢とともに妊娠しにくくなる原因の一つである「卵子の老化」は、DNAの損傷を修復する遺伝子の働きが低下して起こるらしい。DNA損傷が蓄積した細胞は、がん化などを避けるために「自殺」する仕組みが生体には備わっているが、卵子も同じ仕組みによって減っていることになる。たとえ妊娠に至っても胎児が発育の過程で染色体に異常をきたす可能性も高くなる。(K.Oktay博士ら米ニューヨーク医大チーム)
※阿部一理 記※
中山先生は、参考までに女性の卵巣内卵子の数の変化を示されています。驚くべきことに、母の体内に宿した妊娠の初期の胎児の体内からスタートします。
(前回とダブリますが、再掲致します)
★卵巣内卵子数は、妊娠初期8週で60万個。胎生5~6ケ月までにその極に達し約700万個。
その後アポトーシス《自滅》により自然減少して出生時には約200万個。
生理が始まる頃(思春期)には20~30万個。
20歳前後で10万個余りに。
30代後半から排卵しにくくなり38歳で約2万5000個(1/4に)。
45歳前後を境に5000個(1/20に急激に減少)。
50歳で100個(1/1000に)。
閉経後間もなく全ての卵子は消失。
一生に排卵するのは500個程度。
★男性の精子産生能力の劣化が不妊症を。
精子も母体の中で作られる。精子の本になると精原細胞は分裂を繰り返し、思春期頃には数百万個になる。卵子と違い、精原細胞は分裂を繰り返して増えていく。
射精された精子を卵子が受精、1週間ほどで子宮に着床、妊娠が成立する。この精子が卵管を通過する際に精子の頭部のカプセルが次第に消失し、始めて受精能力を獲得する。これらの過程で、精子に含まれるタウリンの不足が不妊を招くことがマウスの実験で明らかになった。精子は精巣上体管内腔液からタウリンを吸収することで、雌の生殖器道進入時の浸透圧ストレスによる受精能力の喪失を回避しているという。(浅野敦之氏らとCornell UnivのStipanuku教授等との共同研究で)
★大量の肉と脂肪分の多い乳製品を摂取している男性の精液の質は劣化している。
『大量の肉と脂肪分の多い乳製品を摂取している男性の精液の質は多量の野菜や果物、低脂肪乳製品を摂取する男性に比べて劣り、精液の質が良好な男性では抗酸化物質が含まれる野菜や果物の摂取も多い。』
『デンマークでは、若年男性の40%で精液の質が生殖に必要とされる基準値を下回っている』という。
(2009ムルシア大学[スペイン]のJaime Mendiola博士ら)
★オメガ3-脂肪酸が男性不妊症を改善する。
『オメガ3不飽和脂肪酸の摂取が多い男性は、摂取量の少ない男性に比べて精子の奇形が少ない傾向が認められた。』
『食事で摂取する飽和脂肪酸が精子の質を下げている可能性を示唆する』と報告。
(米国ダートマス医科大学産婦人科ジル・アタマン准教授ら)
★AGEの蓄積が不妊・不育症に関連する。AGEs=終末糖化産物=AGEsは老化物質。その蓄積が不妊症へ。
終末糖化産物Advanced Glycation End・products=AGEs
は、タンパク質と糖との間の非酵素的糖化反応(メイラード反応)の後期段階で生成する構造物の総称。
AGEは、糖尿病のように血糖値が高い状態が続く疾患だけでなく、正常な血糖値であっても加齢に伴って蓄積されていくことが確認されている。
★(α・β)低線量放射能による影響、化学物質の蓄積、食品添加物などの毒物摂取量の増加と蓄積、薬剤の多用、女性喫煙者の増加&女性のアルコール飲用者の増加。
★(妊娠以前の問題として)セックスレス夫婦の増加、LGBTの問題、出産回避の選択と女性の自立心の過剰、子供のいない自由な生活の選択、結婚願望の欠如、など生殖軽視の世情。
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以下 阿部一理記。
その後、中山先生はヴィーガン(動物性食品を摂取しない食事)の典型として、永平寺の禅堂生活の食生活と、ギリシャ北部アトス島の1500人の修道僧の厳格な養生法(ヴィーガニズム)を『癌を寄せ付けない』と紹介しています。
さらに日本人は米によって命を宿し、米を主食にして生き、米によって魂を養う民族であると『伊勢神宮の衣食住』矢野憲一著を紹介しています。
結論として『マ ゴ ワ ヤ サ シ イ』と和食の食材の頭文字をとった有名な言葉(豆類・ゴマ類・ワカメ海藻類・ヤサイ類・シイタケ・キノコ類・イモ類)の食材の豊かさ、優秀さを示されています。
少し長くなりましたが、是非論文を手に入れてお読みいただきたいと思います。