出産数が減少の一途をたどっているのは、周知の通りです。
三重県の産婦人科医・中山尚夫先生の論文が、『月刊総合医学(日本総合医学発行)』に、2019年4月号から連載。タイトルは『なぜ不妊症は増え続けるのか。健康な赤ちゃんを授かるには』とあります。
4月号では、江戸時代の観相師水野南北翁の『修身録』の中から「人の運は食にあり」「運命の吉凶は食で決まる」を紹介し、さらに貝原益軒の『養生訓』の中から「食事こそ健康・長寿の要であるにもかかわらず、どうして真剣に学ぼうとしないのか」と紹介しています。
中山尚夫先生は、昭和41年~44年まで、大気汚染の中心部四日市塩浜地区の病院の産婦人科に勤務していたとき、重度の奇形児の出産を数多く目にしていたと言います。(たまたま私阿部は、この6月11日に、塩浜地区でのミニ健康講演会に招かれ、四日市喘息公害の中心地だったことを知ったのでした。今から40年ほど前、四日市公害を摘発した田尻宗昭氏の迫力ある講演を今でもアリアリと思い出します。演題は『私の愛する海は、ゴミ捨て場ではない』というものでした。)
そして昭和35年から約60年にわたる我が国の公害の歴史を振り返り、一産婦人科医として、自然食、健康法の指導の実際を語っておられます。
昭和44年に、塩浜から20キロほど離れた桑名の市民病院に赴任して驚いた。重度の奇形児は全く見られず、公害の恐ろしさに気づかされたと言われています。
玄米食と和食のすすめ、肉、牛乳、白砂糖、果物を極力控えさせ、食品添加物、農薬に気を付けさせていたというのです。
母乳育児を重視し、便通を大切にし、逆子の出産をゼロにする。『中山式外回転術』により退職までの24年3ケ月間、逆子100%ゼロの記録を達成したとあります。
続く5月号では
☆妊娠は免疫機能の最高の働きによって成り立つ神秘的現象である。
☆胎児は30億年分の進化の発生歴史をたどって生まれて来る。
☆アレルギーと異種タンパクの関係。
☆離乳食を過ぎると、乳糖分解酵素がなくなる。
☆不妊症の増加、結婚数の減少、出産数減少、少子化と社会の問題。
☆生殖機能には種々のミネラル、アミノ酸、脂肪酸も関連する。
とあります。
以上の中から私阿部が特に驚いた点を、ピックアップしてみます。
◆2016年。体外受精児54,110人。なんと18人に1人。
◆2017年。不妊治療で2割の女性が退職する。同年体外受精で51,001人が出生。
◆東京の服部栄養学院の服部幸應先生は講演の中で「地方から東京に来ている大学女学生に食事について調査したところ、ほとんど全員が食事を作らない。料理の作り方を教えてもらっていない」「食事は、外食・菓子パン・ケーキ類であった」と紹介されています。
◆25~34歳の「アラサー世代」独身者の過半数が、結婚を意識した男女交際をしたことがない。結婚を意識した交際経験がないのは、男性が63%、女性が39%。「絶対結婚したくない」「あきらめている」と答えた男性が31%、女性が26%もいた。
◆オスを育てるには『性的二型核』を発達させなければならない!!『小脳近くに存在する【性的二型核】はその大きさが「男:女で2:1」で男の方が大きい。これが発達しないと脳は女性型になってしまう。運動や遊びを通じて発育するこの核の働きが不十分であると、8~9歳頃までに出来上がる。【性同一性】(男が男であり、女が女であるという)に障害が起きる可能性もある、との報告がある。
◆精子数と食べ物との深い関係いろいろ。
そしていよいよ6月号に続きます。ちょっと長文ですので一部分を今回少しだけお伝え致しておきます。
『不妊症、不育症の主な原因は』と題して11項目をあげておられます。
その前振りとして、日本の体外受精件数は年間24万件で世界最多である。治療を受けている患者の3割は40歳以上で、初診年齢は、77%が35歳以上。体外受精費用は1回30万~50万円。40歳での体外受精による出産率は7.7%と低い。(学生時代、産婦人科教授は、女性は25歳までに1人目の出産を終えておくこと。30歳までに希望人数の子供を生み終えておくのがよい、と教わった。とあります。)
出産の高年齢化傾向の参考に、排卵の実態が述べられております。
卵巣内卵子数は、
妊娠初期8週で60万個、胎生5~6ケ月までにその極に達し約700万個。
その後アポトーシス(自滅)により自然減少して出産時には約200万個。
生理が始まる頃(思春期)には20~30万個。
20歳前後で10万個余りに。
30代後半から排卵しにくくなり、38歳で約2万5千個。(1/4に)
45歳前後を境に5千個。(1/20に急激に減少)
50歳で100個。(1/1000に)
閉経後間もなく全ての卵子は、消失。
一生に排卵するのは500個程度。
以上、排卵と卵子の実態を学ぶことは、一般人には仲々ないと思いますので、専門的すぎる内容かと思いましたが、生命のそして女性の神秘に改めて敬意を表する男性の一人としてこれらの事実を知っておいたら、子孫を残す自然の摂理に合わせた社会のあり方を考える上で、大切な要素になると思いました。
食の影響と電磁波の影響とのダブルパンチが原因か、男子大学生のまともな精子は、質的にも量的にも50人中2人との調査を見たことがあります。冗談で、我が日本は『不妊ランド』か、と嘆いたものです。
携帯の5G革命は、強力な電磁波の健康障害も心配になり、若い男性がまるで『5G(ごじい)ちゃん』になって子どもが出来なくなってしまうのではないかと危惧しております。笑いごとではありません。