危ない住宅環境の毒性

先年、札幌での講演の折、シロアリ対策の工事後体調を崩し、腎臓を病み、ついに人工透析になったしまった人と、アトピーが悪化しその家に住めなくなった人の話を聞きました。おそらく駆除剤として使われている農薬(殺虫剤)が揮発して体調を崩したものと思われます。

それでなくても、新築やリフォームしたての室内に漂う汚染化学物質をVOC(揮発性有機化合物)と呼びます。このような室内から100種類以上の有毒化学物質が検出されるそうです。まさに『毒の館』と言っても過言ではありません。

「建築に使われる化学物質事典」(風土社)によれば、その数460余り。接着剤、防腐剤、防蟻剤、殺虫剤、防カビ剤、燻蒸剤(くんじょうざい)、断熱材、溶剤、洗浄剤、潤滑剤、塗料、剥離剤(はくりざい)などなど・・・

たとえば、テトラクロルビンホス。これは有機リン系防蟻剤。いわゆるシロアリ駆除のため柱や根太などに使われます。同事典によれば

  1. 暴露経路:吸収、経皮、経口摂取により体内に吸収される。
  2. 毒性症状:皮膚、粘膜の刺激や薬傷、目の発赤、かすみ、瞳孔収縮・吸収または経口摂取によるめまい、頭痛、腹痛、胃痙攣(けいれん)、吐き気など。筋力低下、意識喪失、呼吸不全などなど。完全なる猛毒物が室内に漂う。そして神経毒性であることを物語る症状もあります。

さらに、塗料・ゴムなどの溶剤に多用されているテトラクロロエチレンを微量でも吸い込むと、脳や神経が狂ってくると言われています。不動産業者さんは、こともなげに「すぐに慣れますよ!!!」と。しかし、これは慣れたのではありません。感覚が麻痺して感じなくなっただけのことです。呼吸や皮膚などから静かに侵入する『毒性』は次第に脳を、神経を、心を触んで行くというのです。

薄められているとはいえ、毒ガスの部屋にいると思うと、食品添加物や皮膚に付けるものの有害物質を、表示義務指定成分として義務化したように法規制した方が良いと思います。459種類の成分を表示するだけで、大きな紙を貼らなければならなくなり、消費者に充分警告になると思うですが、、、、

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