NHK BSのヒューマニエンスと言う番組で
『40億年のたくらみ“塩”進化を導いた魔術師』
を見て、大変興味深かった。
『塩は運び屋!!!』
酸素を運び、
栄養素を運び、
生命を生命足らしめている重要な存在で、
海に発生した生命が陸上に上がったとき、
海水を3~4倍に薄めた成分を体液として持って上陸したと言うのです。
鮫以外の動物は、すべてが0.9%の塩分濃度の体液を持ち、この濃度が極めて重要で料理界でも、おすましの美味しい塩味は0.9%と教えられています。
単に調味料としての塩ではなく、生命維持の必須要素でもあったのです。
ただ、番組は例のごとく『取り過ぎの害』を過剰に言っていますが、私 阿部やマクロビの経験ではオイシイという味を大切にしますと、塩に取りすぎはありません。ちゃんとお水でバランスをとる様に出来ています。
玄米自然食で有名な医師の森下敬一先生は、若い研究生の時代に1日40gもの塩を取っていたと話して下さり、その当時は睡眠時間の短かかったこと、元気だったことは忘れられません、と語っておられた事が昨日のようです。
「グレートジャーニー」と言うアフリカのビックママから、全世界に人類が広がって行ったのは、塩を求めての壮大な旅だったとも。
そして動物の家畜化は、塩を動物に与える事で出来たとも・・・・。
なる程、動物たちは塩が大好物です。いわゆる『ケモノ道』は、森の動物たちの塩を探し求めた道との説もありました。
100キログラムもの重さの岩塩を運ぶラクダの、塩をむさぼる量の多い事、と言ったら目を見張るものがありました。
番組では、0.9%の塩分濃度のときの赤血球の見事な形状が、塩分濃度が下がると、真ん中のくぼみがだんだんと無くなり、やがてボールのような状態になり、形を変えて細い毛細血管を通過することが難しくなる映像は、とても考えさせられるものがありました。
それから、海の中の魚たちは、塩分を捨てるのが腎臓のハタラキですが、陸上の動物では、逆に塩分を回収するのが、大事な腎臓のハタラキだというお話は興味深く、若し人間の腎臓に180Lの血液をろ過するときに、塩分を回収する機能が無かったとしたら、1日1.5Kgもの塩を取る必要があるとの話は、まさに驚愕でした。
上陸劇の話は、塩を求める動物に共通ですが、発生学の大家三木成夫先生の「鮫のえら呼吸から、肺呼吸に大変化の上陸のドラマ」を思い出しながら思わず見入りました。
『塩がつくった脳と人の社会』の部分では、「脳と神経のハタラキに、塩不足は大変なダメージを与える」というお話は、認知症の激増している昨今、塩分の過剰の制限も大いに関係しているのではないかと、私阿部は思わずヒザを打ったのモノでした。
「塩は電気の運び屋」でもあります。ナトリウムイオンチャンネルのハタラキで、0.001秒という速さで神経が伝達するというのですから、頭脳にも、スポーツにも、塩分の重要性が増すという訳です。
塩分不足は、こむら返り(足のツリ)が起こりやすくなるとも民間療法では言われています。最後に、番組でも高知県黒潮町の天日塩のオイシサにも触れておりましたが、私阿部の体験で岩塩が合わない人は、ほどんど見当たらないように思いますが、海塩は、苦汁(にがり)の害が出ている人には不向きな方も居られます。
これは、O-リングテスト(その人に合うかどうかの便利テスト)で、適・不適を確認されると良いと思います。
私は、平時の体温を上げて免疫力(37℃の体温が最も理想的と言われています。)を高めるためにも陽性の塩を上手に取る事をおすすめしたいと思います。塩分不足は、低体温を招くと言われています。
森下敬一先生の雑誌の記事で、太平洋戦争の時の東ニューギニアの軍医さんの手記『塩戦記』が興味深かったので、最後にご紹介させて頂きます。
「後方補給を経たれた折り、
粉みそ・粉醤油・塩と言う塩気の兵糧がなくなると、
体液がつくれないため、
食べても戻し、
全ての機能が衰弱し、
戦列から落伍して、
涙も出ずに死んでいくしかなかったそうです。」
とにかく塩分の制限は現代医学の最大の間違いの1つと言えそうです。
充分気を付けたいものありまです。
神棚に
「米と水と塩」を祀る話があったことは、
まことに冴えた話題でもありました。