日本人は皆殺しにされるところだった。
背筋が寒くなるような話が『日本大空襲“実行犯”の告白』(新潮新書、鈴木冬悠人著)に詳しい。
2021年8年20日の初版本を読んで恐ろしくなった。
つい この間の出来事なのに私たちは余りにも知らない。
敗色濃厚だった日本が、一年足らずの空襲で46万人が焼き殺されたのです。
1945年3月10日の東京大空襲で10万人が焼き殺されたこと、
それから日本の各都市が次々と焼かれ、それが8月15日の未明まで続いたことは意外に知られていません。
ヒロシマ・ナガサキの原爆とはまた違った意味で恐ろしい。
終戦宣言が遅過ぎたと、ずうっと思い続けて来た疑問が、この本を読んで私にペンを執らせました。
私は1944年2月北海道の網走で生まれ、6人の子供を連れて母は、出征した父の故郷淡路島に疎開した。
しばらく生活している中で、これは網走の方が安全だと、また6人の子供を連れて戻ることになった。途中、明石の親戚に泊めて頂き、もう一泊と言われたのを、一日も早く発ちたいと出発したそうです。翌日 空襲で焼けたと聞かされたとき、死んでいてもおかしくはなかったと思わされたそうです。
いつ出るか分からない戦争中の列車で、網走まで6人の子供を連れての母の逃避行は、どんな苦行であったことかと、私の仕事での旅行の度に思ったものでした。
10日もかかってやっと網走郡東藻琴(ひがしもこと)村に着いたことを母は、よく一人も離れ離れにせずに無事だったことを神に感謝したそうです。
途中秋田市で、列車で知り合った親切な方に泊めて頂き、家族皆でお風呂をよばれ、たらふくご馳走になり、沢山のおむすびを持たせてくれた恩を、よくよく聞かされて育ちました。
困った人をみたら放っておけないような性格に、育てられたように思って今も感謝しかありません。
さて、私事はさておき、この本の「はじめに」の3ページ目から早速2回に分けてご紹介致します。
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わずか1年足らずの間に、少なくとも45万8314人の命が奪われた。
史上最悪ともいえる無差別爆撃。その舞台裏が、赤裸々に告白されていた。
「私は、過激なことをするつもりだった。日本人を皆殺しにしなければならなかった」(カーチス・ルメイ。東京大空襲を実行した第21爆撃軍司令官、アメリカ空軍将校)
ここに、半世紀ぶりに封印が説かれた。“207本の音声テープ”がある。アメリカ軍内部で行われた聞き取り調査を録音したものだ。対象者は、アメリカ空軍将校246人。合計すると300時間を超える。埋もれてきた歴史の記録を再生すると、生々しい肉声が聞こえてくる。
「空軍にとって戦争は素晴らしいチャンスの到来だった。航空戦力のみで戦争に勝利出来ると示す機会になる」(ローリス・ノースタッド。東京大空襲を計画した第20航空軍参謀、アメリカ空軍将校)
彼らは、今から76年前、日本を焼き尽くし、46万人の命を奪った無差別爆撃の“実行犯”。アメリカ軍の内部調査に対して、本音や思惑を包み隠さず語っていたのだ。日本を空爆した当事者自らが、その内幕を語る貴重な音声資料。遺(のこ)された“声”を手がかりに、1年に及ぶ取材を行った。
当時、日本の敗色は濃厚で、アメリカの勝利は決定的だった。そのような状況にもかかわらず、なぜ、あれほどまでに徹底した爆撃が行われたのか。
どうして、46万もの人々が死ななければばらなかったのか。
一つ一つの証言がパズルのピースとなり、これまで謎に包まれていた日本への無差別爆撃の真相が徐々に明らかになっていく。
太平洋戦争の最中、空軍は密かにある野望を抱いていた。「正義と人道」を掲げた裏で、組織一丸となって一つの夢に向かっていたのだ。だが、相次ぐ誤算に見舞われた末に、戦争の狂気に囚われていく。
「我々は日本人が根絶やしになるまで爆撃し続けることができた。彼らがどれだけ耐えれるものなのか」(エメット・オドンネル。東京大空襲を上空で指揮した第73爆撃団司令、アメリカ空軍将校)
取材で浮かび上がってきたのは、倒錯していくアメリカ空軍の実像。当初から戦略から逸脱する命令に、現場の指揮官も追い詰められていった。
「私の手を握ってくれる人は誰もいなかった。結果を出さなければクビになる。それはそれは孤独なものだった」(前出、カーチス・ルメイ)
戦争が長引くほどに薄れていく倫理観。現場に丸投げされた責任。その結果、もたらされた凄惨な被害。彼らの証言は、戦争の恐ろしさの一端を浮き彫りにする。
そして、史上最悪とも言える日本への空襲は、圧倒的な空軍力を初めて世界に知らしめた。戦争の行方を決定づけることが出来る航空戦略は、その後の戦争の根幹を担い、現代に至るまで脈々と受け継がれている。その全ての原点となる思想を生み出したのは、ある一人の将校だった。
本書は、2017年8月に放送したNHK・BS1スペシャル「なぜ日本は焼き尽くされたのか」の取材情報をもとに、番組では伝えきれなかった内容を大幅に加筆したものである。半世紀の時を経て、今に問いかけてくるアメリカ空軍幹部の声は、私たちにどんな気づきを与えてくれるのか。東京大空襲をはめじとする、日本空爆の知られざる真相に迫る。
なお、本書のタイトルで使用している「日本大空襲」という言葉は、1945年3月の東京大空襲から終戦まで続いたアメリカ陸軍航空軍による無差別爆撃を指している。
本書ではその中でも特に、焼夷弾爆撃とアメリカ空軍独立の関係に焦点を当てている。
==== 続く ===