森下自然医学 600号を迎えて

森下敬一先生の『血球の起原』(1960年刊)を読んだ時の衝撃は今も鮮明に覚えています。

私が日本CI協会に縁した頃ですから、かれこれ40数年になります。

『食が血となり、血が肉となる』のテーマを医学、生物学的に史上初の証明をなさしめたものであります。

小腸の絨毛のところで造血現象が起きている、と言うことは骨髄造血説と言う現代医学の誤解を明らかにすると共に、食こそが血球の、ひいては細胞の素であることの実証であります。

ギリシャの医聖:ヒポクラテスの『食べ物で治せない病気は、医者にも治せない』と言う真理をついた言葉の現代医学的実証であります。

生物は、食の原則を持っています。

人間も決して例外ではありません。

そして、余りにも不自然は加工を施したものや、添加された有害化学物質、環境破壊の影響をまともに受けた食材の数々。

さらに、遺伝子組み換えによる生態系の狂いと、医学界の薬漬け医療の暴走等々。

牧挙にいとまがいない程、私たちの生命が奪われようとしています。

どこから修正していけば良いのか?

途方暮れるほどです。

その解決の糸口が『食が血となり、血が肉となる』のテーマだと思います。

森下先生の50年に亘る機関誌600号の重みを改めて再認識し、森下先生の存在意義のマクロビオティック活動家、健康運動に携わる者の一人として私は皆様方に森下敬一先生の書物に、是非触れて頂きたいと切に願うものであります。

***『森下自然医学』2016年6月号 表紙の森下先生の述懐より***

『自然医学』に目を通す時、いつも蘇ってくる光景あり。

それは廃墟・東京の姿。敗戦前の3月10日、B29猛爆によって、東京は焦土と化した。

俄に拡大化した夜空に丸く大きな寒月が昇り、皓々と焼跡を照らしている状況下、一人の青年が佇つくしていた。

そう。

敗戦後初めて、夜の残骸的新宿東口前に降り立った私は、廃墟にムキだしの鉄筋やコンクリート破砕塊を目の前にして茫然自失。

やがて體(からだ)の中心からフツフツと燃え上ってくるモノを感じていた。昭和21年の冬であった。

本誌も成算あっての出航ではなかった。

日本・復興の為に何かをやり始めなければ・・・と言う神風特攻隊的一念で離陸しただけの事。

昭和25年から始められた血液生理学教室でのライフワーク「食と血と癌」に関する動物及び人体実験的研究に一段落をつけ、「学会論争」より「癌・慢性病の食事療法」への転身つまり臨床を考え始めていた昭和40年頃から自然医学本部発行の会員・機関誌(最初は紙から)製作に着手した。

既に発足していた昭和32年からの自然食運動(特に玄米・菜食運動)は順調に拡充していた。

全国の自然食店舗800軒、MFC(食事指導士)5000人、運動共鳴・参加者50万人以上になっていたのである。

さて本号を以て創刊50周年・通算600号となるのだが、吾が森下自然医学は月刊『自然医学』誌と歩調を合わせ、共に成長する事が出来たことを、会員諸氏と共に歓び合いたい。

過去50年間の月刊『自然医学』には、森下自然医学の成長の歴史が刻み込まれている。

その要点を挙げてみよう!!!!

生理的造血組織

  1. 小腸絨毛造血現象
  2. 経絡(特に鳳巴血管)造血現象がある。

摂食時の同化作用的「腸管造血」現象(1960)に続き、約40年後、不食事(又は胎生期)に於ける「経絡造血」現象を研究発表した。

生理的老廃組織・処理機構

体内では時々刻々に大量の老廃組織が産出されているのに、その処理機転が曖昧だ。「末梢血液空間」(1988年森下)に於いて、老廃組織が処理されるとすれば、この処理場に到着するまでの旅笠道中が「細網内皮系(RES)」であろう。

『癌』の理論と対策問題

  1. 癌細胞の血球融合・形成増殖機転
  2. 異化作用下に於ける自然消癌(血球への逆分化)機転

この最重要課題が未解決なる故、現代医学の癌対策が不発に終わっている。
この事は、昭和41年(1966年)4月7日と昭和43年(1968年)3月21日に、衆議院科学技術振興対策特別委員会の「癌問題特別委員会」に於いて一部証言した。

自然医学ファスティング

適塩玄米菜食による異化作用的継続的排毒療法によって、癌・慢性病の治療を試み40数年を経過した。

世界長寿郷・実地調査

森下世界長寿郷調査団は、1975年来・60数回に及ぶ実地調査を重ね、コーカサス・パミール及び新疆ウイグルを「シルクロード(絹の道)長寿郷」と提案したが、それを撤回し「ソルトロード(塩の道)長寿郷」と改名する。

一食一枚のナンの食塩含有量が一枚10gなれば一日30gなり。

天山南路や西域南道・数百キロを歩き続けた百寿翁たちの脚力と長寿力は「塩」にならぬことを銘記すべし。

減塩即亡國也

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