「植物は〈知性〉をもっている」ステファノ・マンクーゾ&アレッサンドラ・ヴィオラ著NHK出版 1800円(税別)
第四章ではこの世の中「共生」が重要である事を学ぶ事が出来ます。
未知のコミュニケーション
親族を見分ける事ができる
自然界において、生物が生きるおもな目的は、遺伝子を守る事、自分の遺伝子、自分の家族、つまり両親や兄弟姉妹の遺伝子を守る事である。2007年に1つの容器に1つの個体の種子を30個栽培(一人のお母さんに30人の子供)、もう1つの容器にはお互いに異なる種子を30個栽培(30人のお母さんに子供一人ずつ)。
結果、同じお母さんの子供30人で育てると共生して育つようです。一方 異なったお母さん30人の子供と育つ場合自分の「なわばり」を独占しようと害を与えたりする。
友としての細菌
マメ科植物と窒素固定細菌が行っている共生だ。窒素は土壌を肥沃にしてくれる基本的な元素である。窒素ガスは不活性で、そのままでは利用できない。が窒素固定細菌が、窒素ガスをアンモニアのような窒素化合物に変換する能力をもっている。まさに自然界の肥料製造屋である。細菌の方から見ると、植物の根のなかに、理想的な生活環境とたっぷりの糖類を見つける事になり、相互に満足を与え合う関係を作り上げる。
共生は非常に重要なものだ。窒素肥料は要らなくなる。化学合成の窒素肥料による土壌、地下水、川、海の汚染もなくなる。アドリア海で藻が異常発生することもない。
第二次世界大戦後、農作物と土壌の生産性は向上を続けた。が「緑の革命」(1960年代)から60年を過ぎた今農地は拡大が止まった。むしろ気候変動が原因で減少しはじめている。それなのに、総人口はますます増加の一途をたどっている。
第二の「緑の革命」を環境に優しい方法で起こす事。ふただび植物の生産力を増すことのできるシステムを作り上げる事。が最優先課題である。
巨大な受粉の市場
植物の世界も動物の世界と同じで、だれもが無償で何かを行うわけではない。「受粉」は商品を買うもの、またはサービスが必要な者は、対価を支払っている。昆虫は労力を提供する。植物は独特な報酬を支払う。昆虫にとっては、植物の種類など気にせずに、どれでもいいから一番近くにある花の蜜を手に入れる事が楽であるが朝いちばんに訪れた花と同じ種類の花から、一日中蜜を集める。
あらゆる受粉や植物の繁殖の基本となるこの奇妙な行動を「訪花の一定性」と昆虫学者は呼んでいる。この行動を守らせているのは、植物の方だと判る。
果実 郵便配達人への「プレゼント」
食用になる果実にかぎらず、あらゆる果実は種子を保護するものだ。たいていの場合、動物を引き寄せる役割も果たしている。動物が果実を食べる時は、種子まで食べてしまう事が多い。動物は食べた種子を元の場所から遠くまで運びそこで体外に排出することになる。種子を確実に拡散させる効果的な方法である。
またアリは、小さな果実も食べる。種子は元の場所から遠くに運ばれるだけではなくそのまま土の中まで運んでもらえる。一度に二つの希望を叶えてくれる。