鈴木鎮一先生のメソッド(才能教育研究会)は、母国語の習得が誰でも出来ていることからの発想であることは前にも述べました。0歳児の能力の高さ、もっと言えば、胎児の持っている言語感覚は、成人からみるとあたかも超能力としか思えないものです。
幼いころの繰り返しの刺激、環境の与える影響の大きさに留意することが大切であることを、米国のグレン・ドーマン博士(『ドーマン博士の幼児能力開発法』)も、最初は知的障害児の能力開発に取り組んでいたのが、これは誰にでも通じる、と言うより学びたがっている子供たちに、良い環境(遊具や教材。特にドーマン博士は読みたがっていることに注目)を段階的に与えることの意義を強調されました。
米国の石油会社“GULF”のコマーシャルの影響か、一歳前後の子供が車の中から見つけた看板の文字を見て『ガルフ』と叫んだのを『あっ!!! この子は読めるのだ。』と。
アルファベットの一文字一文字は覚えなくても“GULF”と言う単語は絵のように認識している。日本語で言うと、ひらがなの一文字一文字はなかなか覚えなくても漢字だと一目で覚えてしまう。漢字は難しく、ひらがなは易しいと言う常識をくつがえしたのです。
早速幼児に漢字カードを作ってみました。イヤ その覚える事の早いこと!!!『象 熊 蟻 雀 柿 帽子 鼻 氷・・・・』石井勲先生の漢字の教育法を知ったのもその頃でした。
幼児の能力の高さを思い知らされたのが、私自身が囲碁や将棋を大人になってから始めた事の壁でした。頭の中に囲碁や将棋を打つ映像が浮かびにくいのです。幼い子供のころに習い覚えた人たちは、難なく囲碁や将棋を打っている映像が浮かんでいるのです。
一寸専門的な話になりますが、囲碁でも将棋でもチェスでも『読み』と言うのは、交互に打って局面がドンドン変化していくのを、頭の中だけで図を変化させていく作業です。(因みに将棋は打つのではなく指すと言います。)
時の人『藤井聡太四段』のおかげで、詰め将棋とか将棋の最高賞金額の竜王戦と言う言葉が多くの方々が知ることになったり、引退した大棋士加藤一二三九段(ヒフミンのひょうきんさが話題ですが、大変高名な将棋棋士のお一人)の事を知ったり。藤井四段の詰め将棋の腕前は史上最強か??
それでもAI(人工知能)にはかないません。それはもともと争うと言う事自体がナンセンスなのです。100メートル競争を人間が自転車やバイクやF1の車や、ジェットエンジン付きの車と競うようなものだからです。
あの将棋の羽生善治三冠が、終盤三十数年詰め局面を30分ほどかけて解いて勝利を治めました。帰宅して同じ局面をパソコンに入れてAIに解かせたら、ホンの一瞬で正解を出した。と言うのが5年以上も前の話です。
それからAIは、長足の進歩を遂げています。土台競う事自体がナンセンスなのです。計算機と筆算を競う人はいません。だから筆算は要らないか?と言うと話は別です。簡単な筆算を計算機を使わないとダメな人間ばかりになったら恐ろしいと思いませんか?
モンテッソーリ、シュタイナー、鈴木メソッド、七田チャイルドアカデミー等の幼児の能力開発は本当に重要だと思います。それに加えて、ジャン・ジャック・ルソーの『エミール』を加えてほしいと思います。肉食の習慣は、いとも簡単に否定されると思います。
さて、今回の藤井四段の快挙は単なる連勝記録の更新よりその勝率の高さにあります。一年間を通して九割の勝率を達成した棋士は過去に一度もありません。現在の将棋界の低階者は、以前よりも強いと言われております。
四段になりたての新人が、名人や竜王に勝利しても誰も驚かない時代になっていると言うのです。(因みに将棋のプロは四段からで、三段リーグを抜けるには七段の実力が必要と言われています。)
結論として、人間の能力開発のツールとして囲碁や将棋を幼児のうちに取り入れるのは非常に面白いと思います。大学の教養課程で、二単位として取り入れている大学もあります。
仮に一つの局面で平均で5通りの指し方があるとして120手で計算すると5の120乗となります。これがどんなに天文学的な数字か!!!計算するのは止めましょうね(笑)
それにしても、米長邦雄永世棋聖がご存命だったら、今回の藤井聡太四段のフィーバーぶりを、どのように活用されたかと思うと残念でなりません。の米長さんのエピソードに、東京都の教育委員の時の発言に「そんなに、原発が安全だと言うのなら、東京湾に作れば良いのだ。」と。
そのユニークと言うか、卓見に驚きます。そして将棋の週刊新聞が1~2年前にもし廃刊でなかったら、どんなに売り上げを伸ばしたかと思うと、そのタイミングの悪さに愕然と致します。アーア 残念もったいない!!!是非 藤井聡太四段の史上初、勝率9割の達成を祈ります。36勝4敗で丁度 9割です。来年の3月末にハッキリします。とても楽しみです。