KAM料理(K重ね煮・A阿部一理・M松浦洋江)
なぜ動物性食品を摂らない人は、五葷(ごくん:ねぎ・にら・にんにく・らっきょう・あさつき)は避けた方が無難なのでしょうか?
先日KAM料理に参加された方からご質問がありました。
精進料理で臭い野菜を「五葷」(ごくん)と言います。
「葷」は禅寺の門に書いてある「葷酒山門に入るを許さず」の「葷 くん」です。
五つの臭い野菜の、ねぎ、にら、にんにく、らっきょう、あさつきの5種類の草とお酒は、禅寺の門に入ってはいけないと言われています。
精進料理の決まり事です。
禅寺の食生活は、植物性が中心の食事です。
「五葷」(ごくん)は、動物性のタンパク質や油を分解する働きがあるから一緒に摂ったほうが良いと考えられています。
植物性の食べ物が中心の方が、この五葷だけを摂ると自分の身体を傷める事になります。
たとえば、胃が痛くなったりする事があります。
たまねぎは、「ねぎ」の仲間ですから、五葷に入ります。
あさつきは、小さなネギになり和食料理では「魚」に良く使われます。
また、レバニラ炒め・焼き鳥のネギまも動物性のタンパク質の分解を上手く組み合わせています。
「五葷」(ごくん)は、五つの臓器 五行説で言う肝臓、心臓、肺臓、腎臓、脾臓(ひぞう)に対応して痛めると言われています。
ちなみに
肝臓は、にら(韮)
心臓は、にんにく(大蒜)
肺臓は、あさつき(浅葱)
腎臓は、ねぎ(葱)
脾臓は、らっきょう(辣韭)
また、「五葷」(ごくん)を摂らなくても、動物性のタンパク質や油を分解する民族の伝統的な料理があります。
日本人は魚・貝類を良く食べる民族です。
磯魚の代表
「さんま・にしん等」は、大根おろしを摂ることで分解されます。
「マグロ」等は、腐りやすい事もあり、香辛料で一番腐りやすいと言われる「わさび」と一緒に摂ると分解されます。
「かつお」等は、にんにくを摂ると良いのです。
川魚の「どじょう・鯉」は、ゴボウを摂ると良い。(柳川鍋のどじょうや鯉こくの時の味噌やゴボウ)
うなぎは、粉山椒と摂ると良いと知られています。
実にうまい摂り合わせが伝統料理に取り入れられております。
お寿司屋さんで使われる日本茶も、魚・貝の脂肪やタンパク質を分解に一役かっているのです。
魚貝の「貝」は、「虫」編が多いです。
はまぐり→蛤
あわび→蚫
えび→蝦
かに→蟹
たこ→蛸
例えば貝類は魚よりタンパク質が硬いですから、その硬さを「酢」を使うことで柔らかくします。
蟹を食べるときには、「醤油」ではなく「酢醤油」で食べることが一般的です。
また「酢めし」の酢は、ネタに魚・貝を使うことで納得の組み合わせです。
「天ぷら」を食べるときには、油を分解するものとして大根おろしや塩、しょうが、レモン、ポン酢、お茶もその一つです。
シイタケも油を分解をします。
中華料理にシイタケをよく食材に使うのは油の分解をしてくれるからのようです。
魚貝のタンパク質や油を分解する果物として柑橘類があります。
潮風の当たる地域に「みかん」が取れるのは、その地域の方が魚を摂る時に「みかん」も食後に摂ると分解されやすいからでしょうか。
反対に「りんご」は、内陸部で取れる果物です。
余談ですが、イギリスでは、子供が熱を出した場合やお腹を傷めた場合は「りんご」を摂らせます。
それは、肉を食べている事が多いことから来た、知恵の一つなのです。