前回に続きまして農薬問題を取り上げます。
中日新聞の系列(東京新聞等)は、既存の政策の問題を忌憚なく批判することに拍手喝采でした。
原発問題もそうです。
日曜版の大図解(見開き約2/3という大きさ)は、学校の教材に役立つシリーズでバックナンバーも入手できます。
さて今回は、令和6年3月3日(日)の
『低リスク化、生態系への影響重視転換期を迎えた農薬』と題して大図解です。
ピックアップしてご紹介させて頂きます。
『世界的に有機農薬や生態系へ関心が高まる中、
〈日本は2021年、みどりの食料システム戦略〉を策定し、
化学農薬の使用量(リスク換算)を長期的に低減していく数値目標を掲げていました。
さらに既存の農薬の安全性などをゼロから調べ直す「農薬の再評価」もスタート。
生産と安全性の両立を図りながら、持続可能な農業をどう進めていくのか注目されています。
特別寄稿の安田節子氏(食政策センター ビジョン21 代表)の文章がスバラシイ。全文をご紹介いたします。
『すべての生命を養う食料システムに』
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ミツバチの大量死、子どもの脳神経への影響などとの関連が指摘され、国際的に禁止や規制が強化されているネオニコチノイド系農薬。日本の基準値は諸外国に比べて桁違いに緩いのが現状です。他にも外国では禁止の毒性の強い農薬が、日本ではいくつも使用されています。
農薬は規制値以下なら問題ないのでしょうか。
微量とはいえ私たちはいくつもの食品から複合摂取し、慢性的に摂取し続けています。
「少しでもリスクがある場合は、たとえ原因と結果の関係が完全に確立されない不確実性があっても考慮すべき」という予防原則の観点で、EUの欧州食品安全機関は、子どもの脳や免疫系などの発達に悪影響を及ぼす恐れから、一部のネオニコ系農薬の暴露を極力下げるよう提言しました。
日本で発達障害が増加し、生殖や出産の異常が増えています。さまざまな要因が絡む問題ですが、そのリスクを予防する取り組みが待ったなしで求められています。
水田ではカメムシ斑点米をなくすためネオニコ系農薬が大量に散布され、水田が育んできた多くの生物が姿を消しました。その農薬は田から川へ流れ、飲料水を汚染しています。
これまでの農薬毒性評価を見直す必要があります。毒性評価では、製剤の有効成分だけが審査の対象です。しかし有効成分の何倍も毒性が強い補助剤があります。
補助剤も審査しなければ製剤の毒性評価をしたことになりません。
農薬再評価制度では、最新の知見を収集し、でき得る限りの安全性を担保する規制を打ち出してほしいものです。
農水省は「みどり戦略」でネオニコなどに代わる新規農薬の開発を掲げました。RNA農薬が挙がっていますがその安全性は不確実です。化学農薬の使用量を必要最低限に抑える「総合防除の推進」にとどまらず、農薬、化学肥料を使用しない、生態系の力を最大限に活用する農業(アグリエコロジー)への転換が求められています。
JA佐渡が米づくり用のネオニコ系農薬の販売を停止した結果、トキが復活・繁殖しました。現在400羽が美しいとき色の羽を広げて飛ぶ姿に「人間にエールを送っているようだ」と農家がドキュメンタリー映画「夢みる給食」の中で感動的に語っています。
(食政策センター ビジョン21 代表)
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次の3つの安全(使う人、食べる人、環境中の生き物の安全)を守るための仕組みを変えるために、次の5段階の変化を説明しています。物足らなさを感じる方のためにも現状を知る上でも参考になります。私 阿部が一部を抜粋してご紹介致します。
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■変化1■
===生態系への影響評価を厳格化===
農薬取締法の改正によって、2020年4月から農薬の影響をうける生物の安全性評価の対象が拡大された。河川の魚などの水生動植物だけではなく、鳥などの陸上の動植物も評価の対象に加えた。
特にハチによる受粉作物の安定供給に不可欠(人間の食料の9割を占める農作物100種のうち、7割はミツバチが媒介していると、国連環境計画のシュタイナー事務局長の談より)
■変化2■
===農薬の最評価制度===
農薬取締法の改正に伴い、登録されているすべての農薬(約600種類)を対象に安全性などの再評価を行う。既存の農薬も最新の科学的知見をもとに、新規農薬と同様の試験を行い、専門家が評価する。2021年12月から国内での使用量が多い農薬(ネオニコチノイド系農薬、グリホサートなど)から実施している。
■変化3■
===2050年までに化学農薬使用量50%低減===
■変化4■
===幅広い視点で病害虫の発生を抑制『統合防除』の推進===
化学農薬への過度な依存によって農薬が効かなくなったり、急激な気候変動に対処できないケースが出ている。そのため、雑草や病害虫の発生の「予防」に重点を置いた考えが重視されつつある。
化学農薬の使用量を必要最低限に抑えつつ、経済的な被害が生じるレベル以下になるよう多角的に病害虫の発生を抑制する方法を「総合防除」と呼んでいる。
■変化5■
===低リスク農薬への転換===
「みどりの食料システム戦略」の中で農林水産省は
「2040年までにネオニコチノイド系(ネオニコ系)農薬を含む従来の殺虫剤に代わる新規農薬の開発」という目標を掲げた。日本での使用量が多いとされるネオニコ系農薬という具体的な名称を明記、転換を促した。
★ネオニコチノイド系農薬(殺虫剤)
タバコに含まれるニコチンによく似た構造を持つネオニコチノイド系(ネオニコ系)農薬は無脊椎動物である昆虫の神経伝達を阻害する殺虫剤の一種といわれてきた。しかし、近年は脊椎動物であるマウスなどでも神経に対する毒性があると報告されてきた。
1990年代ごろからイネなどの害虫、カメムシの防除のため、水田を中心に使われてきた。
★EU(欧州連合)では一部を規制
2018年、EUでは生態系に対する悪影響などを懸念し、ネオニコ系農薬のうち、クロチアニジンなど3種類を主成分とする農業の屋外での使用を禁止した。
ヨーロッパでは20、30年ほど前からミツバチの減少や大量死が相次ぎ、その要因のひとつとしてネオニコ系農薬との関連が指摘されるようになった。
★国内でも安全性への懸念指摘
神戸大学の星信彦教授の研究チームは
ネオニコ系農薬クロチアニジンについて哺乳類や鳥類の脳神経系、生殖系などに悪影響を及ぼす可能性を示した論文を発表している。
東京大学大学院の山室真澄教授らが22年に秋田県中部の水道水を開査した結果、
ネオニコ系の殺虫剤・ジノテフランがEUの規制値の8倍を超えていたことが分かった。国の基準は下回っているものの、不安の声が出ている。
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阿部一理 記
農薬を使用しない農法を目指した、いわゆる『自然農法』の研究実践が様々に行われています。そして多収穫で連作障害もなく、砂漠の耕作地への転化への成功等、地球人類の食料問題解決にスバラシイ農法が、数々と出来上がっています。
今年から順次にご紹介出来れば、と思います。
そして一気に農薬不使用の作物が全世界に広がることを夢見て、人類が2倍・3倍に増えても健康に生きられる食料生産が可能であることを証明する年にして行きたいです。
8毛作でもスゴイのに、もっともっと多毛作も可能と言う情報も聞いております。
『土』の持つ『力』は
『微生物の力』です。
まさに微生物は、地球の主人公とさえ言えます。
菌ちゃん 万歳!! 乞うご期待!!!