ゆらぎ!!!

理論物理学者の佐治晴夫先生に傾倒しております。

この度『日本野鳥の会』1月号に、日本野鳥の会会長 柳生博さんとの対談が掲載されていました。佐治先生の広く深い話がコンパクトに語られており、是非ご紹介させて頂きたいと思いました。

私阿部一理の責任で抜粋させて頂きました。文章は、そのままです。

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1935年東京で生まれる。理学博士。量子論的「無のゆらぎ」からの宇宙創生の理論で知られるが、1/fゆらぎの扇風機やVHS長時間録画ビデオなどの家電製品の開発者の一人でもある。1977年、NASAの宇宙探査機ボイジャーに搭載された地球文明のタイムカプセルとしてのゴールデンレコードにバッハの音楽の収録を提案、また地球外知的生命体とのコンタクトは音楽と数学でという提案でも知られる。主要著書に「からだは星からできている」「14歳のための宇宙授業」(春秋社)「量子は、不確定性原理のゆりかごで、宇宙の夢をみる」(トランスビュー)「詩人のための宇宙授業」(JULA出版局)「ぼくたちは今日も宇宙を旅している」(PHP)など多数。

◆宇宙というのは、ある「ゆらぎ」から生まれたということがわかっています。すべてはとまっているように見えてもゆらゆらとゆらいで、変化していて、すべてのものはゆらゆらとしていないと存在できないということを、量子力学は見つけています。

◆その「ゆらぎ」が何だったのか、という理論研究をしていました。これを「非線形ゆらぎ」といいます。これを仮定して世の中のいろいろなことを観たときに、川のせせらぎの音も、座禅を組んでいる時の脳波の変動も一定ではなくゆらいでいて、この自然界に存在する根源的ゆらぎの奥に、無から宇宙を生み出すもとになった「ゆらぎ」があることがわかったんですね。太陽から地球に向かって吹いてくる荷電粒子の風の音を。人間の耳に聞こえる音にすると、鳥の鳴き声そっくりの音に聞こえますが、興味深いことですね。

◆宇宙はグレーでできている。白黒はっきりつけようとするのは危険!!宇宙の誕生以来、星は生成消滅をくりかえしています。燃料を使い果たした星が超新星爆発した星のカケラから、次世代の星や生命が生成されているんです。宇宙には「エネルギー保存の法則」というものがありますが、それは、エネルギーは姿を変えながら全体の量は変わらないと言う法則です。

原始地球に繁茂していたのは、コケの仲間・シアノバクテリア(藍藻)で、コケは二酸化炭素を食料にして酸素を排出していました。しかしこの状態が続くと酸素だけの環境になってしまい、コケたちは死滅します。そこで、植物たちは自分の体を作る主要成分であるクロロフィルの中のマグネシウムを鉄に置き換えて、ヘモグロビンを作りました。このヘモグロビンが血液のもとになり動物を作ったわけです。そうして、植物と動物はお互いに排出する酸素と二酸化炭素を循環しながら、バランスよく共存してきました。一方、人類が築いてきた文明というのは、この自然界のエネルギー循環のバランスを崩すことによって成立しています。しかし、そこにはエネルギー保存の法則がありますから、全体にひずみが生じてしまいます。

◆人工的にはコントロールできない放射能という廃棄物を作りながら電力という文明に依存しているというような状況です。このままでは、人類はおろか地球の破壊にまで進んでしまう危険をはらんでいます。しかし、ここで、もう一度、物理学で明らかになってきた世界の様相とじっくり向き合うことによって、持続可能な社会の再構築は可能になると思います。すべてはただ一粒の光から生まれたという現代宇宙論からのスタートです。つまり、すべては独立存在ではなく、お互いに関わり相互存在だという現実の理解です。

生きるということはどういうことなのか、生きるためには何が必要で何を捨てるべきか、大事なのは、宇宙全体は、自分だけでなくて周りのものと共存しないと存在できないということを胸に留めて置くべきですね。一言でいえば、「そのものはそのものからできているのではなくて、そのもの以外のものからできている」わけです。「水は水からできているのではなくて、水素と酸素でできている」「A君はA君からできているのではなくて、B君やC君やたくさんの人がいて、はじめてA君になることができる」ということです。そこでお互いにエネルギーを交換しながら、うまくどういう社会をくっていくのかがこれからのテーマです。

◆環境問題を考える時にも忘れてならないのは、人間は自然を壊しながら、一方では整え、保全して新しい環境をつくっていることです。このことが負のスパイラルを生み出さないよう留意すべきだと思います。自分を除外して、環境問題や原発問題を考えている場合が多いですが、自分も環境の中のひとつ、地球の一部、宇宙の一部であることの意識がとても大事だと思います。

以上で転載 終わり

 

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以下 阿部一理談

『クロロフィルの中のマグネシウムを鉄に置き換えて、ヘモグロビンを作りました』の件(くだり)は、とても興味があります。

ルイ・ケルブラン博士の『生体による原子転換』と『千島・森下学説の腸管造血説』に深く関わっているからです。次回に取り上げて行きます

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