恐るべし遺伝子組み換え!!!!

講演が著作物よりオモシロイのは、ズバリ結論から、しかも端的に物語りのように語られているからです。 最初の1でワクワク感が出たら、もう心を奪われた少女のような90分間至福の時を過ごすでしょう 脳科学者の茂木健一郎さんの場合がそうでした。 

『今日は、幸せな脳の作り方を教えますね!! それは、トキメキを持つことなんです。異性に対してだけではありませんヨ。 新しい何かに挑戦してみること、それもちょっとムツカシイことにワクワクしながら挑戦することなんです。 上手下手は二の次です。挑戦することなんです。緊張感が「ドーパミン」を出すんです。すると、若々しい脳を保つことが出来るんです。ボケない秘訣です。』 

というような始まりから、壇上所狭しと動き回って運動不足を解消するかのような、それはそれは楽しい動きのある90分間でした。 

  さて、本を手にとって貰って、そして読んでもらうためにも、最初が肝腎なのですが、この導入部分が大体固苦しいことが多い。 国際ジャーナリスト堤未果(つつみみか)さんの『日本が売られる』(幻冬舎新書、860円(税別))もそうです。 私の人生で10冊の本に入るスバラシイ本です。 是非268ページの第3章『売られたものは、取り返せ』の 6、「子供を農薬から守る母親たち~アメリカ」 「なぜこんなに食物アレルギーで死ぬの子が多いのでしょう?」の13ページを先ず読んでみて下さい。 身につまされる話です。さまざまな問題が凝縮しています。特に日本が危ないことがよく分かります。しかし希望は持てます。いろいろ打つ手があるものだと、考えさせられました 

 一部を抜粋してみます。 

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  • アメリカでは、子供の12人に1人が何らかの食物アレルギー、3人に1人が肥満児、6人に1人が学習障害、20人に1人が発作性の疾患を抱え、68人に1人が自閉症。ちょっと異常な数字だと思いませんか?と語るのは遺伝子組み換え食品を拒否する運動『マムズ・アクロス・アメリカ』の創設者であるゼン・ハニーカット会長だ。
  • 現在アメリカの食物アレルギー人口は1500万人。うち600万人が18歳以下の子供。
  • ヨーロッパでは、食物によるアレルギー反応でER(緊急治療室)に運ばれる子供の数が過去10年で7倍に急増。
  • 日本でも、2005年には3人に1人だったアレルギー人口が、2011年には2人に1人に増えている。
  • アメリカ食品の80%、加工食品の85%に遺伝子組み換え原料が含まれている知って驚く。
  • 彼の2人の息子のうち長男が重度の食物アレルギー、次男が自閉症(遺伝性でないことは調べて分かった)
  • 遺伝子組み換えの種類
    1)作物そのものに殺虫成分が組み込まれているものがある。
    2)殺虫剤をかけても枯れないものもある。(スーパーで買う遺伝子組み換え作物の8割が、この(2)の殺虫剤耐性なので、ここで使われる農薬についても調べることにした。)
    3)都合の良い特徴を出させるために特定の遺伝子をオンやオフにしたものもある。
  • モンサント社の農薬『グリホサート』に注目して調べたところ、EPA(米国環境保護庁)のデーターでは、腸内の善玉菌を殺し、食べたものの栄養を体に取り込めなくすると書かれてあった。さらに、動物実験では発ガン性も指摘されていることを知り、自分が何も知らないことに、大きなショックを受ける。
  • 先ず、オーガニック食材に切り替えたところ、長男のアレルギー症状が消えた。次男は尿から基準値の4倍のグリホサートが検出されたのが、食を変えて1ケ月半で検出しなくなり、下痢などの症状が治まった。
  • メリカには遺伝子組み換え食品の表示義務がない。「食べているものが体を作る」という事実に無知で無関心な母親はゴマンといる。今すぐに知らせなければと考えた。
  • メーカーや企業寄りの行政は「長期間摂取した場合の化学的なテストデータは存在しないこと」を理由に危険だとは言い切れないと主張され、一般消費者に対して仲々説得が出来なかった。ならば、少なくとも消費者の権利である『選択肢』を取り戻そうと、2013年7月4日の独立記念日に全米173ケ所で「遺伝子組み換え食品の表示を求める」デモを組織することに成功した。
  • 同団体のサポーターの1人のラウラ・アッカーソン氏は、素人ながら執念でFBI並の調査能力を発揮したと言われた。
  • 各国の環境団体や消費者グループは、大規模な反対キャンペーンを展開し仏ル・モンド紙はグリホサート発ガン性を大々的に報道。ドイツでも大規模な抗議デモが起きた。
  • モンサント社を買収したドイツのバイエル社は、消費者がうるさいヨーロッパのセールスは難しくなるだろうが今後は商品表示のないアメリカや日本を中心に『グリホサートと遺伝子組み換え種子』のセット販売を積極的に展開していく予定になっている。
  • ところが、アメリカで2018年8月10日仰天の判決が出た!!!『ガン患者に訴えられたモンサント社に320億円の賠償命令』が出たのです。 学校の校庭整備をしていたドウェイン・ジョンソン氏がモンサント社を相手取り、同社のグリホサート系除草剤でガンを発症したとして提訴していた裁判で勝訴したのだ。サンフランシスコ裁判所の陪審員は、全員一致であった。 このニュースには、WHOが『発ガン性の可能性』があると認めたモノを、学校の敷地内で日常的に使用されていることや、1974年から40年間で3000倍の1億1340万Kgも使用されていることを知って仰天したのだ。 
  • 『虚偽』が利益でなく損失になることを身をもって示したのは、末期ガンと闘いながら黙って死ぬことを拒否し立ち上がった一人の男性の勇気ある行動だった。
  • この判決でジョンソン氏は、サポートした環境弁護士のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏(故ケネディ大統領の甥)は『利益のために公益を守るという使命を忘れた政治家と公務員と科学者たちに対するジャスティス(正義)だ』と。

 

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阿部一理記 

続けてあとがき「売らせない日本」を熟読玩味(じゅくどくがんみ)して欲しい。その後で最初のページから読むのがいいのではと私は思いました。生命を大事にするのに、いくら懸命になってもなり過ぎることはないと思いますので・・・・。 

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