生物の上陸劇!!!

 私が48年マクロビオティック(穀物・菜食)をやっていて、一番ビックリしたのは30年以上も経てから、玄米は毒があるから食べてはいけない!!というものでした。正確に言うと、穀類(豆も含む)は、発芽毒を持って自分の身の保全をしているというのです。発芽モード(水に24時間浸せば発芽毒が消える)にして、害のないようにして食べるようにする必要がある、という事でした。 

  

 どなたの発見ですか?と尋ねたら、医学・歯学博士の西原克成先生でした。この西原克成先生の話がまたまたオモシロクて奥が深い。河出書房新社発行『生命記憶を探る旅――三木成夫を読み解く』西原克成著。税別1800が代表作。 

  

 私は、三木成夫先生の『三木形態学』を知らずに生命科学や医学や健康法は、語れないのではないかとさえ思っています。人間の胎児が、お母さんのおなかの中で、生命の進化を全てやって来て誕生する、という「系統発生学」については、皆さんも耳にしたことがあると思います。三木先生の画期的な発見は、海の中で発生し、進化を遂げて来た生物が、陸上に上がる(上陸劇と呼ぶ)ことになった環境の激変に対応するべく、鰓(えら)呼吸から肺呼吸に進化し、水の中の重力から、地上での重力(水の中だと僅か1/6)に対応する必要に迫まられ、対応出来ない者は生存出来ない、という想像を絶する過酷な環境を生き抜いた生物の進化(上陸劇)を明らかにしたことでした。 

  

私たち人間の受精後3238日の間が、どの胎児も今にも死にそうなくらいに弱い時(とき)を過ごしている。 

それが丁度、海の中の生存から、地上、空気中での生存へと進化したときとピッタリ重なるというのです。 

  

  

 なる程産婦人科の先生たちは、妊娠の初期に非常に流産し易い時期があって、それを通り越すと安定期に入るので「旅行など行かれても大丈夫ですよ」という話を、聞いたことがあります。それがこの時期だったのでした。ところが三木成夫先生の講義が情熱的でオモシロイけれど難解過ぎるので、東京医科歯科大学での教え子の一人「西原克成先生」の解説の助けを借りる、というのが『三木成夫を読み解く』になったと言う訳です。 

  

三木先生の『内臓とこころ』河出文庫発行の巻末解説の二人の学者の文章を一部抜粋してご紹介致します。 

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後藤仁敏氏(古生物学)は、 

「胎内にみる4億年前の世界」は、ヒトの発生初期の胎児の顔面形態の変化に、脊椎動物5億年の進化の歴史の再現を見た。その感動の体験を述べたものである。受胎32日から38日までのわずか1週間に子宮のなかで起こるその劇的な変化を描いた三木氏のみごとな胎児顔面の写生は「個体発生は宗族発生の象徴劇である」とする氏の思想を圧倒的な説得力で理解させている」 

==中略== 

私たちのからだには、24時間の「昼夜リズム」だけでなく、25時間の「潮汐リズム」がその深層に存在しており、それがさまざまなからだの不調の原因となっている。前の文で述べた子宮のなかでの上陸劇こそ、私たちが「潮汐リズム」との深いきずなをもっていることを物語るものであり、出生後の乳児の哺乳のリズムの変化のなかに「潮汐リズム」から「昼夜リズム」への移行が起こるのである。私たち人間にみられる「夜行性」や「冬眠」体質は、海に起源した生命40億年に及ぶ長い進化の歴史に根ざしたものなのだ。そして、このように深い不調への対策として、からだのリズムを充分に理解したうえでの『愛の鞭』をタクトとしてふることが大切である。と結論している。 

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養老孟司氏(解剖学)は、 

 久しぶりに三木先生の話を読んで、先生の語り口を想いだした。三木先生の語り口は独特で、それだけで聴衆を魅了する。東京大学の医学部で、ある年に三木先生に特別講義を依頼したことがある。シーラカンスの解剖に絡んだ話をされたが、講義の終わりに学生から拍手が起こった。後にも先にも、東大医学部の学生を相手にしてそういう経験をしたことは他にない。三木先生の話は、そういうふうに人を感動させるものだった。ご本人の表現によれば、「心の底から」動かされるのである。それに対して通常の講義は「体壁系の脳」から出るから「はらわた」に沁みないことが多い。つまり「理に落ちて」しまう。この本が文庫の形で手軽に読めるようになったことで、先生の話が「はらわた」に沁みる読者が増えることを望まないではいられない。 

 

 三木先生は東大医学部を卒業されてから、解剖学教室で小川鼎三先生に師事された。東京医科歯科大学に奉職された後に、上野の東京芸大の教授として赴任された。専門は比較解剖学、比較発生学というべきであろうが、そういう枠では上手にくくれないのが三木先生の学問だった。 

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西原健康論を語るうえで、どうしても恩師三木成夫先生を知って頂く必要があって、三木成夫先生を紹介させて頂きました。 

「内臓とこころ」のP175P183『脳内にみる四億年前の世界』を、ひとまず読んでみて下さい。 

そして『胎児の世界――人類の生命記憶』(中公新書)も是非。 

  

 さて三木先生の本や、西原先生の本を直接手にとって頂くにしても、前述した発芽毒以外の西原先生の健康の四つの提言を書いておきましょう。 

 詳しくは。西原克成著『患者革命』(KKロングセラーズ社発行)をもとに。 

  

次回にて・・・ 

  1. 腸を冷やさない。(冷たいモノを飲まない。食べない) 

 冷たいビールやアイスクリームを止めて、飲み物、食べ物を40℃くらいにしていただくだけで体の不調の70%くらいには、わずか1~2週間で改善すると思います。 

  1. 骨を休める。(平らになって上向きに寝る) 
  1. 口呼吸をしない。(鼻呼吸を心がける) 
  1. 正しい口腔ケア。 

 

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