「今、食が危ない」「今、水が危ない」と言う学研のカラー版ベストセラーは30年以上も昔のことでした。
この30年さらに、食も水も危険度を増しています。
当然、病人指導も昔より一段と結果が出にくくなっています。人間の健康にとって最も重要な『食』に生命力がなくなってきているのだから本当に困ったものです。
そんな折、ノンフィクション作家奥野修司さんの『本当は危ない国産食品―「食」が「病」を引き起こす』(新潮新書 740円(税別))は衝撃でした。
「食」についてかなり意識の高い人でも実態を知っているだろうか?と思えてなりません。
農協も農家もお役人も、ここまで無頓着とは思えないからです。
そして何より消費者一人ひとりが、何を食べさせられているのか全くと言っていいほどノー天気なのです。
今から80年前の、あるいは60年前の食事改善でドンドン健康を回復した実績が、懐かしく思えるほど健康改善に手間取るようになってきた実態が、強まっていくと思えてなりません。
では、早速その著書の「はじめに」から抜粋してご紹介致しましょう。
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五年ほど前の初冬に入ったある日のことだった。知人の大学教授に内分泌攪乱物質(ホルモン作用を攪乱する物質で環境ホルモンともいう)について話を聞いていたのだが、たまたま終わったのがお昼すぎだということもあって、教授と二人で研究所の裏手にある大衆食堂に向かった。
店主がテレビをつけると、画面の中でお笑いタレントがビニールハウスに入って面白おかしくしゃべっている。なにげなく見ると、農家に勧められたのか、立派なイチゴをもぎ取って口に放り込み、「うま~い」「甘~い」とか、「ジューシー」と絶叫しながら食レポをやっていた。それを見た教授はこうつぶやいたのだ。
「物を知らないというのは呑気でいいね。ぼくには見ているだけで気持ち悪いよ」
私は驚いた。これまで中国産食品がいかに怖いかは、実際に中国を歩き回って嫌というほど叩き込まれたが、それと対照的に安全と言われてきた国産のイチゴなのに、どこが問題なのだろう。すぐに理解できず、その理由を尋ねた。
「二つほどありますね。
本来、自然界に冬のイチゴは存在しないものです。それを、季節に逆らって加温しながら育てるのですから、植物にとってはものすごいストレスになります。
当然、病気にかかりやすくなりますから、農薬をたくさん使うことになります。その農薬がイチゴに残留しているはずですよ」
「どうしてそれが分かるんですか?」
「今の農薬の特徴は、浸透性なんです。
農薬を根っこに撒くと、植物が吸収して全体の細胞に行き渡りますから、当然、食べる実にも農薬が浸透しています。
トマトやナスやホウレンソウも同じです。外側がどんなにきれいに見えても、内部に農薬がしっかり浸透しているのです。そしてもう一つは、古いビニールハウスだということですね」
「えっ、ビニールハウスだから安全なのではないんですか?」
「逆ですね。ビニールが柔らかいのは可塑剤を混ぜているからですが、何年か経って劣化すると、可塑剤がパラパラと落ちてきます。
作物は根っこからこれを吸収するんです。この可塑剤が今、内分泌攪乱物質として問題になっているんですよ」
昔は春から初夏にしか食べられなかったイチゴが、真冬でも食べられるようになって便利になったが、便利さには必ず副作用があるということだろうか。
教授の話はそれだけではなかった。農薬の毒性というと、私たちは2008年の中国製毒ギョーザ事件を思い出すが、現実にはそんな事件はまず起こらない。農薬で何が問題かと言うと、その毒性が目に見えないことなのだそうだ。
「農薬で嘔吐したというのは非常に分かりやすいのですが、そんなことは滅多にありません。
今の農薬は、昆虫に浸透して中枢神経に働いて殺す仕組みになっています。人間には毒性がないと言っていますが、形が違っても、似た神経回路は人間にもあるのです。これが問題で、これまで『農薬は少量なら安全』と言われてきたのですが、神経には少量でも作用するんです」
無防備な赤ちゃんを守るのが母親の胎盤であり、あるいは母乳であると思っていたのに、浸透性農薬は胎盤関門というバリアをいとも簡単に通過し、さらに母乳も汚染していると言われたときは、さすがに怖くなった。それを、教授は淡々と語っていた。
ただ、農薬に毒性があると言っても、すぐに症状としてあらわれるわけではないから、食べた人には毒性があるという実感はない。なにしろ、健康に影響が出る可能性があるのは、10年先、20年先、あるいは半世紀も先と言われているそうだ。症状としてあらわれたとしても、長い時間を経たのちだから、本当に農薬が原因かどうかは調べようがないだろう。病気になっても、結局は原因不明としてうやむやになってしまうのがオチだ。
そんな農薬を、日本は世界でも稀なほど大量に使っているという。
農家が農薬を大量に使うには、それなりの理由があるのだろうが、私は心底驚いた。
言うまでもないが、国家の安全保障は何も軍事力だけではない。新型コロナウイルスの感染拡大でも分かったように、公衆衛生であり、医療であり、私たちが日常食べる物を安全・安心にすることもそうだ。ところが日本では、むしろ農薬を使いやすくするような政策がとられているという。
「どうしたらいいんですか」と、私は単刀直入に尋ねた。
「ぼくらにできることは、正確な情報を得ることで、危ないと思ったら予防のつもりで避けること。それには想像力を強くすることでしょう。
これを食べ続けたら、10年先、20年先にどうなるかを考えてほしいですね。今は想像力が失われています。
目先のことしか見ず、万が一農薬の影響が出たことに気づいても、元の健康体には戻せないんです。怖いと思いませんか?」
知らないとバカを見る、ということだろう。
=====(中略)=====
最近、多くの病気は遺伝よりも環境要因が大きいと言われている。環境要因の中で重要なのは、やはり食べ物ではないだろうか。その中でも、私は農薬の影響が大きいと考えている。本書は、なぜそう考えるか、最新の研究を引用しながら、私たちが無意識に食べている農薬の、驚くべき毒性について知ってもらいたいと思って書いた。自分と家族を守るために、皆さんの想像力の足しにしていただければと思う。
私と同じように高齢の入口を通過した人にはあまり関係がないかもしれない。10年先、20年先にあらわれる影響は、高齢者には無縁だからだ。しかし、これから子供が誕生する家族、あるいはいま子供をもっている家族は是非読んでいただきたいと思う。
農薬など合成化学物質に最も影響を受けやすいのは、とりわけ胎児から思春期までの子供だからである。子供が影響を受けやすいということは、親となる(なった)あなたの未来にも関わっているということである。
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阿部一理 記
同著の77頁の【第四章】『脳細胞が“発火”する』の“発火する”という表現はショックでした。
「発達障害」が急増している衝撃のデータです。
「発達障害」急増の衝撃データ
2012年、農薬メーカーが「ネオニコ(ネオニコチノイド)は哺乳動物の神経には影響しない」と言っていた頃、培養細胞を用いた実験とはいえ、世界で初めて、ごく少量のネオニコ(ネオニコチノイド)がラットの小脳の神経細胞の活動を攪乱して毒性を発揮することを報告したのが、環境脳神経科学情報センターの木村-黒田純子氏らだった。そしてその論文で、
<ネオニコチノイド系農薬にはヒトの健康を害し、
特に子どもたちの豚の発達に影響する可能性がある>(傍点は引用者)
と警告しだ。この論文は世界中に報じられ、欧州食品安全機関(EFSA)に影響を与えたと言われる。
もう20年以上前だが、「学級崩壊」という言葉が使われるようになった。小学校の教室で、児童が突然立ち歩く、暴れるなどして、学級運営が成り立たなくなることが相吹ぎ、その一因として発達障害の増加が言われた。ただ、当時は発達障害と聞いても、「それ何?」という感じだった。
ところが現在、自閉症スペクトラム障害、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、学習障害などの発達障害は、学校現場の感覚では生徒の10人に1人、
文科省の調査でも15人に1人(6.5%)いると言われ、今やその存在が当たり前になっている。
なぜこれほど急激に増えたのか。誰もが感じる疑問だろう。
発達障害は、かつて遺伝病とも言われていた。「遺伝の影響が大きい」と言われて親が困惑したという話をよく聞いたが、遺伝的要因では短期間にこれほど増えることはない。PCBやダイオキシンなども可能性はあるが、それらは曝露される量が年々減っているのだから、発達障害が増加する原因とは考えられない。木村-黒田氏が注目したのは、ここ20年で著しく増加しているネオニコ系農薬だった。
以下
79頁『マウスの悲鳴』
83頁『精巣から精子が消えた』
86頁『ネオニコで子供の衝動性が増加する』
89頁『卵巣が小さくなった!』
90頁『ネオニコで認知症?』
92頁『家庭にあふれるネオニコ系農薬』
と続きます。
結論 農業を自然農法に大転換しなければ、本当に人類はダメになります。
その先頭を走っているのが日本人です。
陰謀(いんぼう)と言う前に、この程度のことを改善できないほど無能・低能な日本人は「絶滅」しても当たり前ですね。アーア 空しい。
スマホを見続けている同邦に是非 この本を読んで雄叫びを上げて聞かせて欲しい。
これは『日本人の集団自殺』だよと!!!