『夫婦は似てくる』と言われてきたことのナゾが、エクソソームの発見によって分かった、と聞いて落合孝広博士の『「がん」は止められるー指令物質をコントロールする医療革命』(KAWADE夢新書、880円税別)を読みました。
これは細胞たちが微小物質のエクソソームで「会話」していた!!という本です。
深いキッスや、母乳を飲むことの重要性が見直されることになるかも知れません。
血液、唾液、母乳、精液などの体液に含まれるごく小さな「小胞」(直径約100ナノメートル前後、1mmの1万分の1ほどの大きさ)が、細胞同士、臓器同士が脳を介さずに会話しているというのです。
エクソソームは、私たちの体の中のあらゆる細胞から放出され、体液と共に私たちの体の中を巡っています。最新の電子顕微鏡や粒子計測装置を使って調べてみると、
血液1ccの中に、およそ50億~100億個のエクソソームが含まれていることが分かります。(14ページ)
『人体の中で指令を出すのは、脳だけではなかった』(15ページ)
の項目では、
『エクソソームは細胞から放出され、血液の流れにのって全身を巡ります。放出するときに、細胞はこのカプセルの中に“メッセージが書かれたカード”を入れて送り出します。エクソソームには、このメッセージの宛先が指定されていて、相手はこのメッセージを受け取ることが出来る』と、落谷博士は仕組みを概略説明しております。
されに続けて『メッセージが書かれたカードの中身には、マイクロRNAという物質があります。このマイクロRNAは、相手の遺伝子に働きかけて、さまざまな行動を起こさせます。
たとえば「代謝を促進せよ」「血管をつくれ」というようなことです。
このマイクロRNAを使って、細胞は離れた場所にある別の細胞に、こちらの意志を伝え、さまざまな仕事をしてもらっている。というのがエクソソームによる細胞同士のコミュニケーションのイメージです。
こうしたコミュニケーションは、さまざまな細胞間でおこなわれます。たとえば肝臓の細胞から脳の細胞へ、あるいは腎臓の細胞から甲状腺の細胞へー。
=====(中略)=====
私たちが、普段健康に生活できているのは、それぞれの臓器がお互いに連携して、よりよい状態を保っているからです。たとえば、食べ物をたくさん食べ過ぎると、体は自然と代謝を高めてこれを消費しようとします。
これまでの常識では、こうしたコミュニケーションは全て脳を介しておこなわれていると考えられていました。体のどこからか脳に信号がいき、脳がまたどこかに信号を出す。もちろんそれはその通りです。しかし、エクソソームの研究を通して、どうもそれだけではないということが分かってきました。
私たちの体が正常に機能し、健康な状態を保つために、細胞同士が直接コミュニケーションをとりながら、それぞれの臓器を適切に動かしている。そのような仕組みが、生命活動を円滑にするためにはたらいている、ということが分かってきたのです。
=====(中略)=====
体液の中のエクソソームを交換することで、コミュニケーションを図っているらしいということが分かってきました。
たとえば、
お母さんが赤ちゃんに与える母乳、
あるいはお腹の中にいるときの羊水、
また場合によっては唾液や精液など個体同士が交換する体液の中には、
エクソソームが含まれています。
そのエクソソームにマイクロRNAが含まれていて、そこには何らかのメッセージが書き込まれています。それによって相手の遺伝子に影響を与えている。ここまではどうやら間違いありません。
さらに驚いたことに、
エクソソームを使ったコミュニケーションは、
細胞間、臓器間、人と人だけでなく、
どうやら人間と別の種の生き物、
つまり人間以外の生物との間にも存在するらしいのです。
【阿部一理 記】
37兆個と言われている人間の細胞と、38兆個とも言われている腸内細菌(バクテリア)も密に連絡を取っていることが容易に想像できます。
生命の絶妙さが、2007年頃からのエクソソーム研究で分かってきたのですが、まだまだこんなものではないかも知れません。顕微鏡の進化によって、もっと小さい存在が分かるたびに驚かされることになるでしょう。
本書の「ガンの転移」などの考察や、コロナウィルスの感染には、余り興味はありませんでしたが生命活動や、夫婦間の体液交換の妙には感心しきりでありました。
★授乳によって「経口で与えることで、赤ちゃんの免疫系を発達させるためにエクソソームの中にマイクロRNAを読み込んで赤ちゃんを守っていた」(54ページ)のくだりは感動的でさえあります。
★テロメア研究のビル博士「エクソソームは細胞の若返りを誘導する能力を持っています」(154ページ)
★「エクソソームを食べ物から摂ることで、体の機能、臓器の機能を調整しているのではないか」(156ページ)
★「私たちは、人間以外の種の異なる生き物からエクソソームを経口で摂取することによって、私たちにはない何かを得ようとしているのかもしれないです」(157ページ)
★「エクソソームはあらゆる食べ物の中に存在していたはずです。食べるものというのは、とても重要です」(158ページ)
★「旬のものは美味しいだけではなく、栄養も豊富なのです。自然の栽培法が大事です」(159ページ)
以上より
『エクソソームが生命力!!!』と思う次第です。
キスする相手のためにも、良い食べ物を摂りたいですね。
ワクチンを接種した人からシェディングを受けることが、より理解できる内容です。